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第14話:補完療法入門|鍼・ツボ刺激編

公開日:2026/02/25 更新日:2026/03/02

■はじめに

第10話〜第13話では、運動・マインドフルネス・ヨガ・音楽療法と、 がん治療中・治療後の暮らしを支えるさまざまな「補完療法」を取り上げてきました。 第14話は、鍼(はり)・ツボ刺激(指圧)をご紹介します。 「鍼(はり)って痛そう」「本当に安全?」「効果ってあるの?」と感じる方も多いと思います。 ここで扱う鍼は、がんを治す治療ではありません。 あくまで、治療に伴う「つらさ」を軽くするための補完療法としての位置づけです。 この記事は、“健康を設計する”店長 掛江(一級建築士/健康管理士一般指導員/腸内環境管理士)が、 腸活を軸に、フコイダンをはじめ健康に関する情報をわかりやすく整理してお届けしています。

■鍼はがん治療でどう位置づけられてるの?

国際的には、鍼は「統合腫瘍学(Integrative Oncology)」の中で、 症状緩和を目的とした補完療法として位置づけられています。 SIO(米国統合腫瘍学会)とASCO(米国臨床腫瘍学会)のガイドラインでは、 ・がん関連疼痛 ・乳がん治療に伴う関節痛 などに対して、鍼が推奨されています。 重要なのは、 「がんそのものを治す」のではなく 「治療に伴う生活の質(QOL)の低下をケアしてくれる」 という位置づけです。

■乳がん領域でのエビデンス

乳がんは、生存率が高く、長期にわたりホルモン療法を行う方が多いため、 治療後のQOL(生活の質)に関する研究が多く行われています。 ① ホルモン療法に伴う関節痛(AI関連関節痛) 乳がん治療後、アロマターゼ阻害薬(AI)を服用している方の30〜50%が、関節の痛みやこわばりを経験します。 米国の多施設ランダム化試験(SWOG S1200関連研究)では、 ・真の鍼 ・偽鍼(sham) ・待機群 を比較し、真の鍼群で痛みスコアの有意な改善が示されました。 さらに、その効果は短期だけでなく、1年後にも持続傾向が報告されています。 ここから言えるのは、 鍼は「AI関連関節痛」に対して、比較的根拠がそろっている補完療法の一つ、ということです。 ② がん関連疲労(CRF) がん関連疲労は、 ・休んでも抜けない ・気力が出ない ・日常動作がつらい という特徴があります。 乳がん患者302人を対象としたランダム化比較試験では、 ・鍼+通常ケア群 ・通常ケアのみの群 を比較し、6週間後に疲労スコアの改善が確認されました。さらに、 ・不安 ・抑うつ ・QOL指標 にも改善傾向が見られました。 鍼は、「痛み」だけでなく、体と心にまたがる症状への研究が進んでいます。 ③ 不眠への研究 乳がん治療中の不眠を対象にしたランダム化試験も報告されています。 睡眠は、痛み・不安・生活リズムなど多くの要因が絡むため、 鍼単独で完全に解決するわけではないものの、睡眠の質を補助的に整える可能性が研究されています。 ●エビデンスの限界も理解する エビデンスの限界についても整理します。 ・偽鍼との完全なブラインドが難しい ・プラセボ効果を完全に除外できない ・施術者の技量差 ・がん種や病期が統一されていない試験もある つまり、 ・魔法の治療ではない ・合う人と合わない人がいる というのが現実です。 それでもなお研究が続いているということは、 「試す価値があると考えられている領域」だということです。

■鍼(はり)とツボ刺激(指圧)の違い

鍼(はり): 有資格者が、衛生管理のもとで針を用いて刺激すること。 ツボ刺激(指圧): 指で、気持ちよい範囲で押す。家族でも取り入れやすい 第14話は、まず 鍼のエビデンス(研究成果) を見たうえで、 「家族にもできる、やさしいツボ刺激」までお伝えできればと思っています。

■家族ができるやさしいツボ刺激

ツボ刺激は、 ・強く押さない ・痛くしない ・呼吸と合わせる ・1回30〜60秒で十分 が基本です。 ① 内関(ないかん) 手首の内側、しわから指2〜3本分ひじ側。 吐き気や緊張感の補助として知られています。 息を吐きながら、やさしく押します。 ② 合谷(ごうこく) 親指と人差し指の間。 緊張や軽い痛みの補助。 強く押しすぎないこと。 ③ 足三里(あしさんり) 膝の下外側。 疲労感の補助として古くから使われています。 「効かせる」のではなく、「整える」イメージです。

■家族の役割は「治すこと」ではない

家族は治療者ではありません。 でも、 ・手を温める ・呼吸を合わせる ・そばにいる それだけで、自律神経が落ち着くことがあります。 ツボ刺激は、治療ではなく、寄り添いの道具です。 ●安全に行うための注意点 次のような場合は医療者に相談してください。 ・血小板減少 ・抗凝固薬使用中 ・強いリンパ浮腫 ・骨転移部位への刺激 ・発熱 ・強い神経障害 まずは安全が最優先です。 ですから、無理は禁物です。

■まとめ

鍼・ツボ刺激は、がん治療の代わりではありません。 しかし、乳がんを中心に、治療に伴うつらさ(関節痛・疲労・不眠など)をケアする目的で研究が積み重ねられてきています。 大切なのは、 ・目的を「症状緩和」にしぼる ・根拠がある領域から選ぶ ・安全確認を最優先にする ・家では、「やさしい刺激」で十分 今日できることは、小さくていい。 押して楽になる、呼吸が整う、それだけでも「前に進む一歩」になります。 次回は、補完療法として関心が高い「アロマ/リフレクソロジー/鍼の続きで神経障害など」について、わかりやすく整理していきます。 【コラムニスト紹介】 “健康を設計する”くらしいきいき楽天市場店 店長 掛江 一級建築士/健康管理士一般指導員/腸内環境管理士 建築で培った「構造化・優先順位付け・継続設計」の考え方を、腸活を中心とした日々の健康習慣に落とし込み、続けやすい形で提案しています。 2002年ごろ、妻が子宮頸がん(初期)の診断を受け、がんセンターで手術を経験しました。 がんは本人だけでなく家族の心にも大きな影響を与えることを、当事者家族として実感しました。 この経験をきっかけに、妻が飲んでいたフコイダンの取り扱いを始め、2003年から関連商品に携わってきました。 現在は、腸内環境を軸に、がんを取り巻く情報(予防の考え方、検診、治療と生活)を一次情報にあたりながら、根拠と限界を明確にして解説しています。 私たちは、商品をすすめる前に、まず生活を整えることを大切にしています。 不安なときは、食事・睡眠・運動の基本と、主治医との連携を土台に、管理栄養士と一緒に「続けられる形」を考えていきましょう。 【免責】 ※本コラムは一般的な情報提供を目的としており、診断・治療を代替するものではありません。体調に不安がある場合や治療中の方は、必ず主治医を含む医療機関にご相談ください。

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更新日:10/20(10/13〜10/19集計)