商品ページには、冷蔵庫の写真が何枚も掲載されていた。
正面。
側面。
庫内。
扉。
銘板。
店主は画像を拡大して、一枚ずつ確認した。
左側面に小さなへこみ。
扉の下に細い傷。
取っ手には、少し使われた跡がある。
新品のようにきれいではない。
当然だ。
分かってはいる。
それでも、高い買い物だと思うと、細かな傷まで気になった。
「この傷、実際に見たら大きいのかな」
店主は販売店へ問い合わせた。
返ってきた説明には、傷の場所や大きさのほか、冷却状態、異音の有無、扉の閉まり方、パッキンの状態などが書かれていた。
そこで店主は気づいた。
自分は、傷ばかり見ていた。
もちろん外観も大切だ。
お客様から見える場所に置く機器なら、見た目も店の印象に関わる。
しかし、厨房の中で毎日使う冷蔵庫なら、冷えること、扉が閉まること、異常な音がしないことの方が、もっと大切だった。
少しの傷があっても、正常に動き、店の仕事を支えてくれるなら役割を果たせる。
逆に、外見がきれいでも、冷え方や動作に問題があれば困る。
中古厨房機器を見るときは、傷があるかないかだけでなく、
どこにあるのか。
使用に影響するのか。
動作確認されているのか。
付属品はそろっているのか。
一つずつ確認する必要がある。
店主は、もう一度商品画像を見た。
左側面のへこみは、設置すると壁側になり、ほとんど見えなくなる。
扉下の傷も、使用には影響しない。
それより、庫内が清掃されていることや、扉のパッキンが確認されていることの方が安心できた。
「この傷も、前のお店で働いてきた跡なのかもしれない」
そう考えると、不思議と見え方が変わった。
新品には新品の良さがある。
中古には、予算を抑えながら必要な設備をそろえられる良さがある。
大切なのは、安いという理由だけで選ばず、状態を確認して納得して購入することだった。
店主はノートに書いた。
「傷だけで決めない。働ける一台かを見る」
冷蔵庫の購入を決めた。
完璧にきれいな一台ではない。
けれど、この店で働いてもらうには、十分に頼もしい一台だった。