2020.7.19
SUZUKOUBOU店長のすずあつです。
今、お預かりしているこんがりちゃん、実はセンターから我が家へ来た際に、フィラリアの検査結果が「強陽性」という申し送りがありました。
つまり、心臓や肺に成虫が複数いて、血中にもミクロフィラリアがウヨウヨいるという状態です・・・。
ちなみに、うちでお預かりする野良出身の保護ワンズは、フィラリア陽性の子がとても多いです。そりゃそうですよね。ずっと外で生きてきたわけですから、やはり蚊に刺されていて当たり前です。
そこで、フィラリア陽性の子は、うちへ来てすぐさま「ボルバキア治療」という、服薬での治療を始めますが、こんちゃんも医療処置が終わってからすぐに始めました。これで1年~2年くらいお薬を飲み続けて陰転するのを待つことになります。
こんちゃんも、その頃はまだフィラリアが原因と見られる症状も出ていませんでしたので、こちらの服薬で陰転を目指していたのですが、実はここのところ、血尿や咳き込み、どんなに食べさせても体重が増えないなど、心配な症状が見られ始めました。
フィラリアは症状が進むと「急性フィラリア症」を発症し、急速に心不全が進行し、呼吸困難、血色素尿、そして腹水が溜まるなどの症状が生じ、緊急手術でフィラリア成虫を摘出しない限り、1週間程度で死亡してしまうという怖ろしい病気です。
今まで、私はそのような状態になった犬たちを何頭か見てきましたので、フィラリアは一旦具合が悪くなると転がるがごとく危篤状態になることを知っていました。本当に恐ろしいほどあっという間なのです。
↑ 犬の心臓に寄生したフィラリア。成虫は心臓から肺動脈に寄生していきます。
それで、今回のこんちゃんの症状から、これはもう吊り出しの手術を一刻も早くした方がいいかもしれない!と判断し、成虫を手術で除去する「吊り出し手術」が可能な病院を当たりましたが、これが本当になかなか見つからないのです。
フィラリア予防薬を飲むことが当たり前になってきたこの頃では、そんな吊り出し手術なんて、やったことも見たこともない獣医さんも多く、また手術器具もかなり特殊なため、用意している病院も多くはありません。この手術には先生の腕と特殊器具が必要なのです。
伝手を頼って色々探しましたが、ある病院では「もう関東ではできない手術。関西か九州にできる先生がいる」とまで言われました・・・。マジか!
しかし、こんなところでこんちゃんが幸せになる予想図を終わらせるわけにはいかんのです!
色々探しまわって、やっと都内でやってくれる病院を見つけ出し、一昨日こんちゃんを連れて詳しい検査に行ってまいりました!
その結果、なんと今回「吊り出し手術」まではしなくて大丈夫!という結果に!もうホントに心からホッとしました・・・。
それで、今回皆さんにぜひともお願いしたいのが、 「フィラリア症の予防薬投与は絶対にスキマを作らない!」 ということなのです。
今回のように、野良出身で蚊に刺されてしまったこんちゃんと違い、普通の飼い犬は屋内で暮らし、毎日のお散歩やお出かけの際にお外へ行く程度なので、日々そんなに蚊に刺されるということを意識せずに暮らしていたり、予防薬も一応飲ませてはいるけれど「1か月に1回」をうっかり忘れて、間が少し空いてから飲ませたり・・・、そんなことはありませんか?
よく誤解されていることに、フィラリア予防薬の「効用期間」があります。
フィラリア予防薬は、「1か月に1回飲ませる=1か月効果が持続」と勘違いしてらっしゃる方が多いかと思いますが、それはノミダニのお薬のお話で、フィラリア予防薬には長い効果期間はありません。
そもそもお薬の効能が異なっており、フィラリア予防薬を1か月に1回飲ませるのは、もしかしたら蚊に刺され、1ヶ月間犬の体内に溜まっているかもしれないフィラリア幼虫を、月に一度のお薬できれいさっぱり駆除してしまうためなのです。
ですので、フィラリ予防薬は、決して1ヶ月間犬の体内に薬が残っているから安心~というわけではなく、1ヶ月どころか、内服後長くて2~3日以内には体の中から消失してしまうお薬なのです。
この点については、とても多くの飼い主さんが誤解されているようです。
投薬を1か月に一度にしているのは、投薬の間隔を1ヶ月以上開けると、幼虫が成長し過ぎてフィラリア予防薬で駆除しにくくなるためで、駆除しきれなかった幼虫はそのまま成虫となり、心臓の中に寄生して確実に犬の身体を蝕んでいく可能性が高くなります。
私が今回、「フィラリア予防薬は1か月ごとにスキマなく投薬して下さい」とお願いするのはこのためです。
1ヶ月に1回の投薬回数をしっかり守らなければ、フィラリア感染の恐れがあるんだということを、しっかり認識して頂ければと思います。
脅かすわけではありませんが、フィラリア症になってしまった犬の最期は、本当に苦しみながら死んでいく最期です。決して我が子にはなってほしくない状態です。
加えて、近頃では急性フィラリア症のことをあまり知らない若い獣医師さんも多く、もし危篤になって病院に駆け込んだとしても、よく分からずにとりあえず何かのお薬をくれるだけ、なんてことも十分あり得ます。
フィラリアはとにかく予防さえしていれば防げる病気ですので、今一度皆様に投薬の重要性を再認識していただくきっかけになればと思います。
ちなみに、フィラリア予防薬の内服は『蚊の発生1ヶ月後からスタートし、蚊がいなくなって1ヶ月後まで、1ヶ月間隔で与える』という必要条件を必ず守りましょう。
地域によって気温差などありますが、関東に住んでいる私の場合は、以前は5月~10月まででOKという病院が多く、その処方に従っていましたが、最近は1年の間で気温の高い時期が非常に長く蚊もたくさんいるため、一昨年からは「4月から~12月までの期間」飲ませるようにしています。
ちなみに、福太郎もうちへ来た際フィラリア「陽性」でしたが、ボルバキア治療で1年後の検査で「陰性」に転じました!
ただ、これも勘違いしないでほしいのですが、フィラリアというのは「家とシロアリ」の関係のようなもので、例えばシロアリは駆除できても、シロアリに喰われた家は元通りにはならないですよね?
それと同じで、フィラリアも早めの投薬で駆除は可能ですが、フィラリアに蝕まれた犬の身体は、決して元どおりに回復することはありません。その身体と一生向き合っていくしかなく、命は助かってもダメージが大きく残る子もいるのです。
何度も言いますが、フィラリアは予防薬で簡単に予防できる病気ですので、しっかり投薬時期を守って服用すること。これが何より大切です。我が子の命を守るためにも、ぜひよろしくお願い致します。