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なぜ育児日記にお天気を書くと心が軽くなる?

公開日:2026/06/24 更新日:2026/09/30
本記事は佐藤珠美先生によるコラムで、 「乳幼児のスキンケア」「寝かしつけ」「抱っこ」など、 産後のママが抱えやすい悩みに寄り添いながら、毎日の育児に役立つ情報をわかりやすく発信しています。

なぜ育児日記に天気を書くと心が軽くなる?

親子で乗り切る「梅雨の気象病」の理由と対策
梅雨になると、体のだるさや頭痛などを訴える人が増えます。激しい寒暖差や気圧の変動によって、自律神経が乱れてしまうからです。自分の体調は優れないのに、洗濯物は乾かない。気分転換にお出かけしたくても雨で億劫になる……。小さなお子さんを育てるママにとっては、本当に気が重い季節ですよね。 実は、この時期に赤ちゃんの機嫌が悪くなったり、理由もなくギャン泣きしたりするのも、気象の変化が原因の一つと言われています。「私の育て方が悪いのかな……」と一人で悩んでいませんか? あなたと赤ちゃんのその不調、もしかしたら「気象病」のせいかもしれません。少しでも心が軽くなるように、ママと赤ちゃんの梅雨の不調と対策について、一緒に考えていきましょう。

ー 気象病(天気痛)とは ー

気象病とは「気象病(天気痛)」は、一体どういった病気なのでしょうか。実は、気象病は医学用語ではなく、天気の変化に関連して起こる体調不良を指す一般用語です。身近なお年寄りから「雨の日は関節や腰が痛む」「古傷がうずく」といった話を聞いたことがあるかもしれません。昔から多くの人が生活の中で経験してきたことですが、かつてはその原因が分からず、「気のせい」「迷信」などと片付けられ、医療の対象とされてきませんでした。しかし近年の研究により、この不調が「気のせいではない」ことが科学的に証明され始めています。 2023年、日本の天気痛予報アプリ「頭痛ーる」のビッグデータを活用した、日本頭痛学会所属の医師らによる共同研究(※2)がアメリカの頭痛学会で発表されました。AIを用いたこの研究により、「気圧の変化が頭痛を引き起こす」という相関関係が学術的に実証されたのです。(※2論文名:‘Investigating the effects of weather on headache occurrence using a smartphone application and artificial intelligence’)この研究や製薬会社の全国調査からは、気象病について以下のような驚きの実態が明らかになっています。 圧倒的に女性に多い 気象病を経験した人の割合は「女性7:男性3」。特に片頭痛は20〜40代の女性に突出して多い。 主な症状 最も多いのが「頭痛」。次いで「だるさ(倦怠感)」や「気分の落ち込み」が続く。 地域による差がある:気象病の経験率が全国で最も高いのは「島根県」。 最も低い「北海道」の約2倍という結果に。地域差が出るのは、その土地の地形や寒暖差などが影響していると考えられます。さらに近年は、地球温暖化による猛暑や線状降水帯の頻発など、気候変動が激しくなっています。私たちは昔以上に、気象病を経験しやすい環境の中で生きていると言えるでしょう。

ー ママと気象病 ー

頭痛やだるさといった気象病は、なぜ男性に比べて女性に多いのでしょうか。そこには、女性の体ならではの3つの理由があります。 1. 内耳の「気圧センサー」が敏感 耳の奥(内耳)には、気圧の変化を察知して脳に伝える「気圧センサー」があります。女性は男性に比べて、このセンサーが敏感な人が多く、気圧の低下や急激な変化に過剰に反応しがちです。その結果、自律神経が乱れて頭痛やめまい、だるさを引き起こしやすくなります。 2.女性ホルモンの変動 女性の体は、月経周期、妊娠期、産後、更年期など、ライフステージごとに女性ホルモンが大きく変動します。このホルモンバランスの乱れに気圧の変化(自律神経の乱れ)が重なることで、症状が重症化しやすくなります。20〜40代の女性に気象病が多いのも、まさにこの時期が重なるためです。特に産後は、育児による慢性的な睡眠不足や疲労が重なり、気象病をより発症しやすいデリケートな状態になっています。 3. 男性に比べて筋肉が少ない 筋肉には、収縮と弛緩を繰り返すことで血液やリンパ液を心臓へ押し戻す「ポンプ」のような働きがあります。女性は男性よりも筋肉量が少ないため全身の血流が滞りやすく、もともと冷えやむくみ、肩こり、疲労感を抱えがちです。ここに気圧や寒暖差の刺激が加わることで、さらに血行が悪化し、症状が悪化してしまいます。 もちろん個人差はありますが、特に妊娠・出産や子育て期の女性は、天気の変化による影響を非常に受けやすい環境にあるのです。このメカニズムを知っておくだけでも、「自分がダメだから体調が悪いわけではない」と気持ちが楽になり、早めの対策(あらかじめ休む、薬を用意するなど)を打てるようになります。

ー 赤ちゃんと気象病 ー

悪天候の日は、機嫌の悪い赤ちゃんによく遭遇します。実際に乳幼児の集団健診会場などにいると、低気圧や台風、大雨の日にはあちこちから赤ちゃんの「ギャン泣き」が聞こえてきます。「お天気のせいで、体が気持ち悪いのかな」と感じる瞬間です。でも、そのことに気づいている方は少なく、原因に心当たりもなく途方に暮れ、一生懸命に赤ちゃんを落ち着かせようとなだめています。実は赤ちゃんは、大人以上に気圧や温湿度といった気象の変化に影響を受けます。それには、赤ちゃん特有の体の未発達さが関係しています。自律神経が未熟で、体温調節が苦手… 赤ちゃんは自律神経系が未熟なため、上手に体温調節ができません。そのため、梅雨時の蒸し暑い日は体内に熱をため込みやすく、逆に寒いときは低体温になりやすいのです。体に熱がこもると強い不快感を覚え、顔を真っ赤にして激しく泣いたり、ぐずったりします。また、睡眠のリズムも未発達なため、寝つきが悪くなる原因にもなります。 耳の構造(耳管)が未熟で、気圧の影響を受けやすい。 耳の奥(内耳)と鼻の奥をつなぐ「耳管(じかん)」は、気圧を調整する大切な役割を持っています。赤ちゃんの耳管は、大人に比べて「短く、太く、水平に近い」という特徴があります。そのため気圧の変化をダイレクトに受けてしまい、内耳の気圧センサーが過剰に反応して、強い不快症状を引き起こしてしまうのです。 赤ちゃんの気象病にも「個人差」がある。 大人と同じように、気象病の発症には個人差があります。天気の影響を受けやすい赤ちゃんは、気圧が変わると抱っこしても泣き止まなかったり、怖くなるほどのギャン泣きをしたり、夜泣きが増えたり、ミルクの飲みが悪くなったりします。その一方で、外がすごい嵐であっても、お天気に関係なくご機嫌で、ぐっすり眠るような、のんびりタイプの赤ちゃんもいます。 「うちの子はどっちのタイプかな?」と気になったら、育児日記の片隅にお天気を記録してみるのがおすすめです。しばらく続けると、我が子のぐずりと天気のパターンの関係がすぐに見えてきますよ。

まとめ

梅雨から台風にかけてのシーズンは、ママと赤ちゃん、どちらも気象病による不調が起こりやすい時期です。 「なんだか体調が悪いな」「今日はずっとギャン泣きしているな」と感じたら、ぜひお天気を記録して、気象病との関係をチェックしてみてください。 気象病が起こる仕組みを知り、自分や赤ちゃんの変化のパターンを把握しておくだけで、母子ともにたくさんのメリットがあります。 心に余裕ができる。「天気のせいだ」と分かることで、理由のないイライラや「自分の育て方のせい」という過度な不安を減らせます。

【 事前の対策を打てる 】

天気が崩れる予報を見て、あらかじめ家事を手抜きする準備をしたり、薬を用意したりと、先回りして備えられます。 気候が不安定で心身ともに疲れやすい時期だからこそ、正しい知識を味方につけて、親子で無理なくこの季節を乗り切っていきましょう。
更新日:10/10(10/03〜10/09集計)
育児日記に天気や気圧、ママと赤ちゃんの体調・機嫌を書き留める習慣は、梅雨や台風シーズンに起こりやすい気象病(天気痛)・自律神経の乱れ・産後の頭痛やだるさ・赤ちゃんのギャン泣きや夜泣きの傾向を可視化し、早めの対策につなげるセルフケアとしておすすめです。