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夏、なぜ高齢者は食べなくなるのか。「1口目の壁」が、いちばん高くなる季節へ。

公開日:2026/06/04 更新日:2026/10/02
  • 「夏になると、もうひと段階下がるんです」

    ——お母さまの食事の話になったとき、ぽつりと、こう言った娘さんがいました。 冬から春までは、なんとか半分は食べてくれていた。それが6月の終わりごろから、一段、量が落ちる。8月になると、もう一段… 普段から少食なんだけど、夏は、もうひと段階下がるんです これまで多くの介護家族の方にお話を伺ってきましたが、夏の話になると、ほぼ全員、同じトーンでこの一言から始まります。 今日は、私たちMe TIME FOODSがご家族から聞いてきた「夏のパターン」を、そのままお伝えさせてください。 ※なぜそうなるのか、医学的な原因論には踏み込みません。私たちが現場で確かに見てきたリアルな「夏は、こうなる」を、書きます。

    夏になると、何が起こるのか

    ご家族のお話を聞いていると、夏の食卓には、毎年同じ現象が起こります。 1つ目は、量が落ちること。「半分は食べていたのが、3分の1になる」「夜ごはんは2口で『もういらない』と言われる」。減り方の幅にはばらつきがありますが、夏に量が増えたという話は、聞いたことがありません。 2つ目は、選択肢が減ること。「冷たいものは胃にくる」「熱いものはきつい」「臭いがダメ」。冬には通っていた選択肢が、夏になるとひとつずつ消えていきます。 3つ目は、回復が遅いこと。「秋になっても、夏に落ちた分は戻らない」「翌年は、もうひとつ下のラインから始まる」。夏は、その時期だけの問題ではなく、その後の食卓のラインを一段下げてしまう季節でもあります。

    家族の側から見た夏

    膀胱がんを患ったご主人を、ご自宅で介護されている70代の奥さま。 夏は本当にしんどい時期です。冬は『これなら食べる』ってわかってきたものがあったんですけど、夏になるとそれすら拒否されることがあって。『臭いがダメ』『熱いものはきつい』『冷たいものは胃にくる』って、選択肢がどんどん減っていくんです 90代に近いお母さまを介護されている、40代の娘さん。 冷蔵庫の中が、母にとっての『なんとか食べられるもの』で埋まっていくんです。アイス、ヨーグルト、ゼリー、プリン。でも、母は『また同じものか』って。私も、これ以上どうしたらいいか、毎年夏になると分からなくなります 夏は、季節が「食べさせない理由」を毎日生み出していく。これが、夏の介護の本当のしんどさだと思っています。

    「1口目の壁」が、いちばん高くなる季節

    1口目さえ口に入ってくれたら、食べてくれる。1口目が入らないと、何も始まらない。 これは1年を通して、介護家族の方が向き合い続けている壁です。ただ、夏は——この壁が、いちばん高くなる季節なのです。 これも、医学的な説明ではなく、これまでMe TIME FOODSがお伺いしてきたリアルなお話を並べたときに見えてきたパターンとして書きます。 夏になると、「美味しそう」と感じるためのスイッチが、ふだんより上がりにくくなるのだと思います。匂いはきつく感じる。熱はつらく感じる。冷たさも、夏でも胃にくると言われる。 ふだんなら通る食事も、夏は最初のひとくちに辿りつくまでに、いつもより大きな勇気がいる。

    栄養補助食品が、夏は通らなくなる

    ここが、いちばんお伝えしたい話です。 これまでに栄養補助食品Mを試した。医薬品Eや医薬品Rを試した。市販の介護用ゼリーも、ひととおり試した。冬や春の体調がいいときは、なんとか1日1本は飲んでくれていた。それが夏になると、急にどれも通らなくなる。 冬は飲んでくれていた栄養補助食品Mが、夏は『甘すぎる』って戻された。医薬品Eは『薬みたい』ゼリーは『冷たすぎて胃にくる』 これは、本人のわがままではないと思います。夏は「1口目の壁」が高くなる時期だからです。 栄養補助食品の「薬っぽさ」「独特な甘さ」「香り」は、冬のご本人には通っていても、夏のご本人には強すぎる。同じ商品なのに、季節が変わると同じようには飲めなくなる。 頼っていたものが、いちばん必要な季節に通らなくなる。買い置きの段ボールが、冷蔵庫の隅で、毎週ひとつずつ増えていく。 「夏になって、どれも通らなくなった」とおっしゃるご家族の声を、私たちは毎年聞きます。

    夏に通るのは「食べ物の顔をしているもの」

    ご家族のお話を聞きながら、ひとつの仮説に行き当たりました。 夏に通るものは、「栄養補助食品」ではなく「食べ物の顔をしているもの」ではないか、と。 栄養補助食品の見た目は、どうしても「飲料」「ゼリー」「サプリ」に寄っていきます。普段「これは栄養を取るためのもの」と頭で割り切れる人も、夏になって体力が落ちると、頭の割り切りが先に折れてしまう。 そのとき、口の前に差し出されるものが「アイスクリーム」だったら、どうでしょうか。 「アイスです」と渡されたら、本人も「アイスを食べる」モードに入れる。冷たさが、重くなった胃をそっと開けてくれる。やわらかさが、噛む力に合わせてくれる。甘さは、栄養補助食品の甘さではなく、「アイスとしての甘さ」として受け取られる。 これが、夏に「1口目」が通る理由ではないか、と私たちは考えています。 Me ICEは、高齢者向けの完全栄養食です。1個で33種類の栄養素が摂れます。でも、私たちが大切にしているのは、その栄養価だけではありません。 「これなら食べてくれた」を、夏でも成立させること。それが、設計の起点です。

    夏の合言葉は、「今日は1個でいい」

    最後に、これだけはお伝えさせてください。 夏に食事が通らなくなったとき、いちばんつらいのは、本人ではなく、毎日のご飯を出しているご家族のほうかもしれません。「ちゃんと食べさせなきゃ」「痩せていく一方で、自分のせいだ」。そういう声が、頭の中で勝手に大きくなっていく季節でもあります。 「今日はこのアイスを1個食べられたね」「明日はもう1個食べられたらいいね」。それくらいの目線で、夏は乗り切る。これが、私たちが現場で学んだ「夏の合言葉」です。 Me ICEが、その「1個」のひとつになれたら、これ以上嬉しいことはありません。

    さいごに

    ここまで読んでいただき、ありがとうございます。 もし、いま「夏になって、また食べてくれなくなった」と悩んでいる方がいたら、覚えておいてほしいことがあります。 それは、本人のわがままでも、あなたの工夫が足りないわけでもないということ。夏は、高齢のご本人にとって、想像以上に重い季節です。「1口目」が通らない日があるのは、たくさんのご家族で起きていることです。 そのうえで、「今日はこれが1口食べられた」を一緒に喜べる相手として、私たちMe TIME FOODSは、夏の食卓のそばに、そっと置いてもらえたら嬉しいです。