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「食べてくれない」のその先で。介護する家族が抱える、食事の悩みリスト。

公開日:2026/06/04 更新日:2026/10/10
  • 介護のなかでいちばん重い時間はいつですか

    ——食事の時間です。 私たちがこれまでお話を伺ってきた介護家族の方々の、ほぼ全員からこの答えが返ってきました。 入浴や薬の管理、日常の介助はもちろんですが、やはり大変というお声が多いのは食事に関すること。「今日はちゃんと食べてくれるかな」と思いながら朝が始まり、「結局、また半分残した」と思いながら一日が終わる。それが、ずっと続いていく。 体力的に大変なのも、もちろんあります。でも、それ以上に重いのは、「何をどう出していいか分からない」という、答えのなさのほうかもしれません。 今日は、私たちMe TIME FOODSが介護家族の方にお話を伺うなかで見えてきた、「食事まわりの悩みリスト」をまとめてみたいと思います。 「これ、うちのことだ」と思う方が、たぶん少なくないはずです。そしてもし、いま誰かを介護しているあなたが「悩んでいるのは自分だけじゃなかった」と少しでも感じられたら、この記事を書いた意味はあるかなと思っています。

    なぜ、私たちはこの話を聞いてきたのか

    私たちMe TIME FOODSは、シニア向けの完全栄養食ブランドです。完全栄養のアイスやスープを通して、「食べることがむずかしくなった人」とそのご家族の食卓に、少しでも安心を届けたいと思って商品をつくってきました。 ただ、商品をつくるだけでは、本当の介護の現場で何が起きているのかは、分かりません。 だから私たちは、実際にMe TIME FOODSの商品をご購入してくださったお客様や、シニアの食事課題を抱えているご家族に、直接お話を伺う取り組みをしてきました。在宅で介護をされている方、施設に通われている方、遠方の親を心配している方——いろんな立場の方の声を、できるだけそのまま聞きました。 その中で何度も何度も、形を変えて出てきた悩みを、今日は6つにまとめます。

    医薬品も栄養補助食品を口にしてくれない

    介護家族の方とお話していて、いちばん最初に出てくるのが、この悩みです。 医薬品Eや医薬品R、栄養補助ドリンクM、栄養補助ゼリーIなど——病院や薬局で勧められる栄養補助食品を、ひととおり試してきた。最初は口にしてはくれたものの、二口目に行かない、お腹を下す… 最初の1〜2回は飲んでくれたんですけど、3回目で『もう、いらない』って言われて」「『薬みたい』『甘ったるい』って、突き返されちゃって 70代のお父さまを介護されている、40代の娘さんが、こんなふうに話してくださいました。 色々な栄養補助食品を試したんです。ドリンクタイプ、ゼリータイプ、バータイプ……でも、ぜんぶダメで。きつい言い方で返ってきたこともありました。悪いのは自分じゃないってわかっていても、なんとなく自分が責められている気がしてくるんです 栄養補助食品が「薬みたい」と拒否されるのは、本人のわがままではありません。長年食事を楽しんできた人にとって、食事ではないものを「食事として摂る」というのは、想像以上に体と心が受けつけないことなんだと思います。 だけど介護をする側からすると、それが続くと、本当に何を出せばいいのか、分からなくなる。

    ミキサー、刻み、とろみ。毎日の調理が限界

    噛む力、飲み込む力が弱くなってきたご家族のために、毎食、食事をひと工夫する。 野菜は細かく刻む。お肉はやわらかく煮る。ご飯はおかゆにする。ものによってはミキサーにかけて、ドロドロにする。とろみ粉を溶かして、ちょうどいい粘度に調整する。 これを、毎日、三食。 舌の手術を受けたお父さまを介護されていた、50代の娘さんは、こうおっしゃっていました。 ぜんぶをミキサーにかけるのが、本当に大変でした。一度ふつうの食事を作って、それを細かく切って、煮て、ミキサーにかける。一食ぶん作るのに、ふつうの倍の時間がかかるんです。それが三食。あの時期は、自分の食事を取る余裕もなかったです 別の方は、こんな言い方をしていました。 『やわらかくしないと食べにくい』っていうのは分かってるんです。でも、毎回ミキサーを出して洗って、っていうのが、本当にしんどくて。手抜きじゃないのに、なんだか自分がサボってる気がしてくる ミキサーを出す、刻む、煮る、冷ます。それを毎日、何度も繰り返す。それが「やってあたりまえ」になっていく時間の重さは、外からはなかなか見えにくいものです。

    食べたいのに食べられないを見るのがつらい

    これも、何度も伺った話です。 食欲はある。食べたい気持ちもある。でも、消化器の手術や嚥下機能の低下で、物理的に食べられない。本人がいちばん、そのギャップに悲しんでいる。 食道がんで胃の一部と食道を切除されたお母さまを介護されている、50代の娘さんが、こう話してくださいました。 母は、食べることが何より好きだったんです。親子で食べ歩きをするのが、ずっと楽しみで。でも手術のあと、好きだった店の食べ物がもう美味しく感じられない、って言うようになって。食べたいのに、2〜3口でお腹いっぱいになっちゃう。本人が、いちばん悔しそうにしているのが、見ていてつらいんです 「食べる楽しみ」は、私たちが思っている以上に、その人がその人らしく生きるための、大きな柱です。 それが少しずつ崩れていくのを、いちばん近くで見ていなければいけないというのは、介護をする側にとって、栄養の心配とはまた別の、深い悲しみだと思います。 「ちゃんと食べさせたい」だけじゃなくて、「もう一度、おいしいって思ってほしい」。その願いが、なかなか叶わない日々が続く。

    食事を残されると、責められている気がする

    これは、なかなか口に出しにくい悩みです。でも、お話を聞いていくと、多くの方が抱えていることが分かります。 時間をかけて作った食事を、半分以上残される。「いらない」と顔をそむけられる。一生懸命選んで買ってきた栄養補助食品を、「こんなのいらない」と返される。 頭では分かっているんです。本人が食べたくて食べないわけじゃない。体調や、その日の気分や、薬の副作用や、いろんなことが重なって、食べられないだけ。 でも、繰り返されると、心は別のことを言いはじめます。 「もしかして、自分の作り方が悪いのかな」 「もっと工夫すれば、食べてくれるんじゃないか」 「私が下手だから、痩せていってるんじゃないか」 幼いお子さんの摂食障害と向き合ってきた、30代のお母さまが、こんなふうに教えてくださいました。 『これがダメ、あれもダメ』が積み重なって、何が正解か、わからなくなる日があるんです。買ってきて、出して、残されて、捨てて。そのたびに少しずつ、自分が削られていく感じがします 食事を残されるのは、食材が無駄になるだけじゃない。介護する人の気持ちも、少しずつ削っていく。これは、もっと話されていいことだと、私たちは思っています。

    離れて暮らす親に何を送ればいいか不明

    ここからは、少し違う角度の悩みです。 実家から遠く離れた都市に住んでいる。仕事や育児で、頻繁には帰れない。電話では「ちゃんと食べてるよ」「困ってないよ」と言うけれど、本当のところは分からない。 そんなとき、せめて何かを送ってあげたいと思う。でも、生鮮食品は管理が大変。日持ちするレトルトばかりだと飽きそう。栄養補助食品は「年寄り扱いされてる」と感じさせちゃうかもしれない。 新幹線で3時間離れた実家で暮らす90代のお母さまをもつ、40代の娘さんは、こう話していました。 月に1週間、実家に帰るんです。それでも残りの3週間は、ひとりにしてしまう。そのあいだに何か食べてほしいけど、なにを送っていいか分からない。冷凍だと冷凍庫に入りきらないし、常温だと栄養が偏りそうだし。結局、毎月悩んでます 物理的な距離は、すぐには埋められない。だけど「気にかけてるよ」というメッセージは、食卓を通して届けられるはず。——そう思っているのに、何を選んでいいかが分からない。 これは「介護されている人の食事の悩み」というよりも、「介護に直接関われない側の、ちょっと違う種類の悩み」かもしれません。

    食べさせるが、毎日重い仕事になっていく

    最後に、これまでの5つを束ねるような、いちばん根っこにある悩みです。 何を出すか、考える。買い物に行く。調理する。とろみをつける。食べさせる。残されたら片付ける。次の食事のことを考える。そのあいだに、体調の変化を観察する。次に食べてくれそうなものを考える。また買い物に行く——。 これが、毎日、三食、ずっと続く。 膀胱がんを患った奥さまを介護されている、70代のご主人は、こうおっしゃっていました。 夜中に何度も起こされる。薬の管理もしないといけない。買い物にも行く。でも、いちばん消耗するのは、食事のことを考えている時間です。考えても考えても、答えが出ないんです 食事は本来、楽しみで、コミュニケーションで、文化です。それが、介護のなかで、いつのまにか「いちばん重い仕事」になってしまう。 これは、介護する人の責任ではありません。「食」というものが、私たちが思っている以上に、人の体と心の両方を支えている、大きなものだからだと思います。

    共通して見えてきた、ほんとうの悩み

    ここまで6つの悩みを並べてみて、私たちが感じたことを、最後にお伝えさせてください。 介護家族の方々が抱えている悩みは、「栄養が足りない」ではないんです。 そうではなくて、「食べてくれるかどうか、分からないものを、出し続けなければいけない」ことの悩みです。「何が正解か、誰も教えてくれない」ことの悩みです。「食べてくれた日も、食べてくれなかった日も、結局自分が抱える」ことの悩みです。 栄養素の数字でも、価格の安さでもなく、「おいしいと栄養をどちらも、ちゃんと受け取ってくれるかどうか」。それが、ほんとうの判断軸になっている。

    Me TIME FOODSにできること

    正直にお話しすると、私たちのアイスやスープが、ここに挙げたすべての悩みを解決できるわけではありません。介護の悩みは、ひとつの食品だけで消せるほど、軽いものではないからです。 ただ、ひとつだけ言わせてください。 私たちは、「1口目を、ちゃんと受け取ってもらうこと」のために、Me ICEとMe SOUPをつくっています。 冷たくてやわらかいアイスにしたのも、お湯を注ぐだけで完成するスープにしたのも、栄養補助食品らしくないパッケージにしたのも、「これなら食べてくれた」という1口目のために、ぜんぶ設計したことです。 数百回の試作も、嚥下に配慮したテクスチャー設計も、シニアの体に合わせた栄養配合も——その先にあるのは「今日もちゃんと食べてくれた」という、たったその一言です。 完全栄養は、目的じゃない。手段です。 その先にある、「食べてくれた」という、いちばんの安心のために、私たちはこれからも作り続けます。