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「土地の記憶と香りの循環」天然香料を生み出す水蒸気蒸留とは

公開日:2026/06/29 更新日:2026/08/12
こんにちは スタッフカズです 今回は、僕たちEpicrobeが山や農場に入って植物を摘み、香り製品を作っている背景についてのお話です。 ちょっとマニアックに見えるかもしれないのですが、実はすごくシンプルで面白い「香りと循環」の仕組みをお伝えします。 ============ 1.そもそも天然の香りってなんだろう 2. 人工香料と天然香料、何が違うのか 3. 「水蒸気蒸留」とは 4. なぜ「銅製の蒸留器」を使うのか 5. 蒸留器のパーツを解剖してみる 6. 「土地の循環」をボトルに詰める ============

1.そもそも天然の香りってなんだろう

天然の香り作り。それは、植物が自然の中で生き抜くために出している「防御システム」をそのまま分けてもらう作業です。 野生の木やハーブ、果実などは、厳しい環境に耐えながら、「生存・繁栄」のために、自分の体の中にものすごく豊かな香りの成分を蓄えています。 その生命力をいただいて、鮮度の良いうちに仕込む。だからこそ、ボトルを開けた瞬間に、その土地の霧がかった森や、太陽が照りつける農場の空気に一瞬で感じられるような、ホンモノの「生の香り」が広がるんです。 .

2. 人工香料と天然香料、何が違うのか

普段の生活でよく嗅ぐ香水の多くは、化学的に作られた「人工香料」です。 ---------- ■人工香料(合成香料) : 狙った香りの分子だけをピンポイントで作るため、香りが非常に強く、何日も残り続けるのが得意。いつでもどこでも同じ香りを届けられるのが良いところです。 ■天然香料(植物からとる香り) : 1つの植物の中に、まだ科学で解明されていないものも含めて、何百種類もの成分が奇跡的なバランスで複雑に混ざり合っています。 ---------- 人工香料は持続性、香りの強さに優れています。ただ、天然の香りは鼻にツンとくる感じが全くなくて、深呼吸したくなるくらい優しい。 時間が経つとすっと儚く消えますが、その「消えていく移ろい」こそが、その香りを身体が自然と受け入れてくれるんだと思います。 .

3. 「水蒸気蒸留」ってなに?

じゃあ、植物の中にある目に見えない香りの成分をどうやって取り出すのか。ここで登場するのが、大昔から伝わる「水蒸気蒸留法」という、究極にシンプルな引き算の方法です。 やり方はびっくりするくらい原始的。釜に植物と水を入れて、下から火をかけます。そうすると、熱い水蒸気が植物の細胞を通り抜けるときに、香りのカプセルを優しく弾き飛ばして、香りを抱え込んだまま上にのぼっていきます。 何年、何十年という歳月をかけて大地でじっくり育った植物たち。その力を数時間、蒸留器の中にギュッと閉じ込めることで、その土地の空気や植物が持つ本質的な香りを限界まで凝縮させていく。だからこそ、そこから生まれる一滴は、気が遠くなるほど貴重なものです。 この香りが詰まった水蒸気を、冷たい水で冷やすと、また「液体(お水)」に戻ります。 こうして出来上がるのが、少量のオイル(精油)と、植物が本来持っていた水分そのものである「芳香蒸留水(ハイドロソル)」。アルコールや薬品を一切使わないから、植物の純粋なエッセンスだけが100%の形でお水に残ります。 .

4.なぜ銅製の蒸留器を使うのか

僕らのラボの主役、あのピカピカした曲線美は伝統的な銅製蒸留器「アランビック」。 現代ならステンレス製の方が手入れも楽なのに、あえて「銅」を使っているのには、ちゃんとした理由(科学的な根拠)があります。 まず、銅は熱が伝わるのがめちゃくちゃ早い。だから、とろ火の熱が釜全体へ均一に、じっくり伝わっていきます。これでデリケートな花や葉っぱが焦げるのを防いで、一番キレイな香りのラインだけをピュアに引き出すことができるんです。 さらに面白いのが、銅には「嫌な雑味や青臭さを吸着して消してくれる効果」があること。蒸留中に出るエグみを銅の表面がキャッチしてくれるから、驚くほどクリアで、ハッとするような「品のある香り」に仕上がるのです。 .

5. 蒸留器のパーツを解剖してみる

アランビックは、一見オブジェみたいで、魔法系の映画に出てきそうな見た目ですが、それぞれのパーツがめちゃくちゃ緻密なチームワークで動いています。 .

6. 「土地の循環」をボトルに詰める

Epicrobeが行う蒸留は、単に「良い香りの商品を作って売る」ことだけが目的ではありません。 もっと深いところで、その土地の自然や、普段は見過ごされて捨てられてしまうような資源を新しく繋ぎ直す「土地の循環」そのものだと思っています。 例えば、花粉の季節が終わって役目を終えた、山の杉の枝葉。摘果する際に、落とす柑橘の貴重な皮。
────── 本来なら、未利用で捨てられてしまうはずだった生命の断片。 それを僕らが手をかけることで、ラボやお店で、皆さまの手に渡る「香り」に変える。 蒸留器からポタポタ落ちてくる一滴は、その土地の土の匂い、そこに関わる人たちの熱量が全部混ざり合った、いわば「土地の記憶」です。 自然から何かを奪い取るのではなく、眠っていた資源に新しい命を吹き込み、心地よい香りの形にして、また誰かの暮らしへ還していく。 この循環の形を広げることが、Epicrobeの役割のひとつであると考えています。 ──────

■スタッフカズの蒸留動画

広島県産|クロモジ

■天然香料|レモンネロリ&クロモジミスト

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