台湾では旧暦7月を「鬼月」と呼びます。
2026年は8月13日が旧暦7月1日。
8月27日が旧暦7月15日の中元節でした。
この時期の台湾では各地で中元普度が行われます。
そこで欠かせないものの一つがお香です。
台湾のお香を理解するには
まず中元普度でなぜお香が焚かれるのかを知る必要があります。
●台湾の鬼月とは
台湾の民間信仰では旧暦7月1日に鬼門が開き
霊が人間の世界へ戻ってくると考えられてきました。
旧暦7月の終わりに鬼門が閉じるまでの約1か月間が
一般に鬼月と呼ばれています。
台湾文化部文化資産局によると
中元普度は台湾最大規模の民間信仰行事の一つです。
古くからの神や霊を敬う習慣に
仏教の盂蘭盆会と道教の中元節が重なり
現在の台湾独自の行事へ発展しました。
2026年の鷄籠中元祭も8月12日から9月11日まで行われます。
8月27日の中元節だけではなく
約1か月を通して続く祭典です。
●中元普度では何をするのか
日本のお盆は一般に
自分の家の祖先を迎えて供養する行事と考えられています。
台湾の中元普度にも祖先を祀る習慣があります。
ただし対象は祖先だけではありません。
身寄りのない霊や
供養する人のいない霊にも食べ物などを供えます。
台湾ではこうした霊を
直接的な呼び方を避けて「好兄弟」と呼ぶことがあります。
中元普度は寺院だけの行事でもありません。
家庭や一族で行う祭祀は「私普」と呼ばれます。
寺院や地域で行うものは「公普」と呼ばれます。
台湾文化部の資料には
道路沿いの商店や市場。
学校や会社。
行政機関などで行われる普度も記録されています。
店先や会社の前に机を並べ
供物を用意して祭祀を行うこともあります。
●中元普度ではなぜお香を焚くのか
台湾内政部の宗教情報サイトでは
焼香は信仰上の祈願を表す行為と説明されています。
台湾の祭祀で使われるお香は
部屋を良い香りにするためだけのものではありません。
神仏や祖先。
そして普度の対象となる霊へ
敬意や祈りを示すために焚かれます。
寺院によっては一日中香を絶やさず
香火が続くことを大切にしている場所もあります。
使用する香の本数や焚き方は
地域や寺院によって異なります。
それでもお香が祈りを表す重要な存在であることは
台湾のお香文化に広く共通しています。
●台湾のお香は一種類ではない
「台湾のお香」といっても
一つの種類や香りを表すわけではありません。
台湾には寺院や家庭での祭祀に使われる香。
白檀や沈香などの香木を楽しむ香。
目的に合わせて作られた香などがあります。
形もさまざまです。
・芯のない線香
・短い臥香
・長いスティック香
・渦巻き型の盤香
・粉末状の香
同じ台湾のお香でも
作られた地域やメーカーによって香りは異なります。
香木を中心にしたものもあれば
漢方系の素材を思わせる香りもあります。
祈願や祭祀で使うことを意識して
調香されたものもあります。
そうした目的を持つ台湾香の一つが除障香です。
●除障香とは
除障香の「除障」には
障りを除くという意味があります。
台湾では場を整えたい時や
気持ちを切り替えたい時などに使われています。
ただし除障香は
台湾のお香全体を表す名称ではありません。
一つのメーカーだけの商品名でもありません。
台湾では複数のメーカーが
それぞれ異なる除障香を作っています。
当店で取り扱っているものだけでも
次のような除障香があります。
・除障香本舗の除障香
・富山檀香の除障納福香
・施美玉名香の除障薫香
同じ除障香でも
香りや形状は異なります。
除障香を選ぶ時は名前だけで判断せず
製造元と商品の背景を確認することが大切です。
なお除障香を焚けば
必ず何らかの効果が起きると断言できるものではありません。
台湾の信仰や習慣を背景に持つお香として
気分や空間を切り替える時間に取り入れるものと考えています。
●除障香本舗の除障香
除障香本舗は
台北市にある除障香の専門店です。
店内には大きな祭壇があり
入荷したお香は一度祭壇へ供えられた後に販売されています。
除障香本舗の除障香は
台湾の法師である達陽居士が監修しています。
代表的な除障香は
甘く華やかな芳香用のお香ではありません。
スパイシーで獣系とも表現される
かなり個性的な香りです。
初めて焚く方には
強く感じられる可能性があります。
除障香本舗は台北市にありますが
当店で正規取扱している代表的な除障香は
台湾南部の高雄で製造されています。
●台湾のお香を取り扱うようになった理由
私は仕入れなどで
これまで台湾へ50回以上足を運んできました。
その中で除障香本舗とは
15年以上にわたり取引を続けています。
現在HAPPY HOURは
台湾除障香本舗の日本正規販売店です。
除障香は中間業者を通さず
メーカーから直接仕入れています。
当店では除障香本舗以外にも
台湾各地のお香を取り扱っています。
・高雄の富山檀香
・彰化県の施美玉名香
・鹿港で1756年に創業した施金玉三房
・澎湖諸島の二崁傳香
現地へ足を運び
メーカーや商品の背景を確認したうえで
日本のお客様へ紹介してきました。
台湾のお香は
香りの良し悪しだけでは判断できません。
どこで作られたのか。
誰が作ったのか。
どのような目的で使われてきたのか。
その背景も含めて伝えることが
台湾香を扱う店の役割だと考えています。
●まとめ
台湾の鬼月は
旧暦7月の約1か月間にわたる民間信仰上の期間です。
その中で行われる中元普度では
祖先だけでなく身寄りのない霊にも供物を施します。
お香はその際に
敬意や祈りを表すものとして焚かれます。
このような文化から生まれた台湾香の一つが除障香です。
台湾のお香を選ぶ時は
香りだけでなく製造元や使われてきた背景を見ることで
それぞれの違いが分かりやすくなります。