農業経験ゼロからの挑戦。地球を救う一杯を目指す環境再生型クラフトビール
公開日:2026/04/27 更新日:2026/05/15北海道十勝地方の最東端に位置する浦幌町。農家1経営体あたりの耕地面積が全国平均の20.8倍という、大規模農業が盛んなこの地で、一風変わった挑戦を続けている醸造所があります。それが、環境再生型クラフトビールを手掛ける「RIKKA(リッカ)」です。
代表を務める鈴木将之さんは、かつてアウトドアブランド「パタゴニア」に勤務していました。2018年、勤務中に「一杯のビールで、地球を救う」というコンセプトのビールに出会い、大きな衝撃を受けたことがすべての始まりでした。当時、農業経験は全くのゼロ。しかし、「何をやらずに一生を終えるより、地球のために何かをやりきった人生にしたい」という強い情熱が鈴木さんを突き動かしました。
鈴木さんは、単にビールを作るだけでなく、その原料となる大麦の栽培方法から見直しました。注目したのは、土壌を耕さずに作物を育てる「不耕起栽培」です。通常の農業では土を耕す際に土中の二酸化炭素が放出されますが、不耕起栽培は炭素を土に封じ込め、気候危機の緩和に貢献する可能性を秘めています。2023年には福島大学大学院でリジェネラティブ農業(環境再生型農業)を研究するなど、理論と実践の両面から理想の農業を追求してきました。「農業で気候危機を緩和できる可能性がある。だったら、やってみよう」というシンプルな、しかし力強い決意が、7年という歳月を経て、浦幌産大麦100%のビールという形になりました。