八綱弁証(はちこうべんしょう)漢方のユニークな診断方法
公開日:2026/08/07 更新日:2026/09/10漢方(中医学)のユニークな診断方法『八綱弁証(はちこうべんしょう)』についてお話します。
漢字ばかりで難しそうですが、簡単に言うと、「4つのペア(計8種類)」で体をチェックするという方法です。
「漢方ってどうやってお薬を選んでいるの?」「病院の診断と何が違うの?」という疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
風邪をひいて病院に行くと、先生から「〇〇風邪ですね」「〇〇炎ですね」と「病名」をつけられますよね。
でも、漢方(中医学)の世界はちょっと違うんです。
漢方では、病名をつけるのではなく、その人の今の体の状態(バランスの崩れ方)を判定して「証(しょう)をたてる」という言い方をします。
この「証」をたてるために使われる、最も基本のものさしが「八綱弁証(はちこうべんしょう)」。
漢字ばかりで難しそうですが、要するに「4つのペア(計8種類)」で体をチェックする方法です。
その4つのペアとは、
◆病気はどこにある?(表・裏)
◆体は冷えてる?熱い?(寒・熱)
◆体力は足りてる?余計なものがある?(虚・実)
◆総合するとどっち?(陰・陽)
では、まず陰陽から見ていきましょう。
最初に、その大黒柱である「陰(いん)」と「陽(よう)」についてご紹介します。
すべてはバランス!「陰」と「陽」
東洋医学では、自然界のすべてのものを「陰」と「陽」に分けて考えます。
◆陽(よう): 明るい、活動的、温かい、外側、男、昼
◆陰(いん): 暗い、静か、冷たい、内側、女、夜
どちらが良い・悪いではなく、「両方のバランスが半分ずつで保たれている状態」がベストとされています。
世の中の昼と夜がほぼ半分ずつであるように、私たちの体もこのバランスが大切です。
漢方相談では、
体の中の「陰に属するもの(うるおい、血など)」が足りているか、
「陽に属するもの(エネルギー、気など)」がしっかり巡っているか、
などをこの陰陽の視点で見極めていくのです。
さて、この「陰陽」という大きな土台の上に、さらに具体的な3つのものさしを重ねていきます。
漢方のユニークな診断法「八綱弁証」
「表」と「裏」のお話です
「風邪は引き始めが肝心」と、よく言いますよね。
実はこれ、漢方の考え方にもよく当てはまります。
漢方では、病気の原因となる「邪気」が体のどこにあるのかを、「表(ひょう)」と「裏(り)」で考えます。
簡単にいうと、
「まだ入り口にいるのか、それとも奥まで入り込んでいるのか」ということです。
◆表証(ひょうしょう)
皮膚や鼻、のどなど、体の外側や入り口付近に邪気がある状態。
風邪の引き始めや、急に出てきた蕁麻疹などがこれにあたります。
◆裏証(りしょう)
邪気が体の内部に入り込んだ状態。
こじらせた風邪や、長引く不調、慢性的な胃腸の不調などがこれにあたります。
風邪を引いて「ちょっとゾクゾクするな」と感じたときは、まだ「表」の段階かもしれません。
この段階で、体の状態に合わせて葛根湯などを用い、早めに対処する――。
これが、漢方でいう「表から裏へ進ませない」という考え方です。
「風邪は引き始めが肝心」。
漢方では、そんなふうに体の変化を捉えているんですね。
さて、病気が「どこにあるのか」が分かったら、次は「冷えているのか、熱いのか」
次は「寒(かん)」と「熱(ねつ)」についてお届けします。
あなたの不調は「冷え」?それとも「熱」?【寒と熱】
体調を崩したとき、自分の体が「冷えているのか」「熱がこもっているのか」を意識したことはありますか?
漢方のものさし、「寒(かん)」と「熱(ねつ)」これは単に「寒がり」「暑がり」というだけでなく、体全体の反応から判断します。
冷えの「寒」と、ほてりの「熱」
中医学では、体から出るサインをこのように分類します。
◆寒証(かんしょう)=体が冷えている状態
顔が青白い
温かい飲み物や食べ物を欲する
尿の色が透明で薄く、サラサラした白い痰が出る
◆熱証(ねつしょう)=体に余分な熱がこもっている状態
顔が赤い、のぼせる
口が渇いて、冷たい飲み物を欲する
便秘がち、尿の色が濃い、胸やけがする
「冷えは万病のもと」と言いますが、実は現代人はストレスや食生活の乱れから、体の中に余分な熱がこもる「熱証」の人もとても多いのです。
自分の体が出しているサインが「寒」なのか「熱」なのかを知ることで、選ぶべき食べ物や暮らし方もガラリと変わってきます。
◆ おすすめの食材
寒証の人:温・熱性の食材が良い。生姜、にんにく、ねぎ、シナモン、羊肉、にら など
熱証の人:寒・涼性の食材が良い。きゅうり、トマト、なす、スイカ、緑茶 など
さて、いよいよ次回は最後のペア! 体力がある人とない人で対処法が真逆になる、「虚(きょ)」と「実(じつ)」のお話です。
「陰と陽」「表と裏」「寒と熱」に続いて、
今回お届けするのは、「虚(きょ)」と「実(じつ)」です。
これは、体に必要なものが「足りないのか」、それとも余計なものが「詰まっているのか」という、パワーの過不足を表しています。
1. 虚証(きょしょう)
〜 必要なエネルギー(気・血・水)が足りない状態 〜
日頃の疲れや寝不足、加齢などによって、体力が低下している弱々しい状態です。
【 対策 】
足りないエネルギーを「補う」ことが先決です!
◆ おすすめの食材
元気を補う(気): お米、イモ類、かぼちゃ、豆類、鶏肉など(胃腸に優しいもの)
血(ケツ)を増やす: レバー、マグロ、ほうれん草、黒ごま、なつめ、クコの実
うるおい(水)を与える: 山芋、白きくらげ、豆腐、梨、豚肉
◆ 代表的な漢方薬
気を補う(補気剤): 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、六君子湯(りっくんしとう)など
血を補う(補血剤): 四物湯(しもつとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)など
2. 実証(じっしょう)
〜 体に余分なもの(邪気)が溜まっている状態 〜
ウイルスなどの外敵だけでなく、体内で滞ったドロドロ血(お血(おけつ)や、タプタプに溜まった余分な水分(水湿・すいしつ)などが悪さをしている状態です。
【 対策 】
体の巡りを良くして、余分なものを「出す・巡らせる」ことが必要です!
◆ 食事のコツ
玉ねぎ、小豆、はとむぎなど「排出を助ける食材」をとる
腹八分目を徹底する
体の中に湿気や熱を溜め込みやすい「油っこい食事・甘いもの・お酒」は控えめに!
◆ 過ごし方のコツ
実証の方は「エネルギー自体はある(または詰まっている)」状態です。しっかり体を動かして、汗や排泄を促すアプローチが非常に有効です。
4回にわたる「八綱弁証」のまとめ
これまでご紹介した4つのペアを組み合わせることで、漢方アドバイザーはあなたの状態をピタリと言い当てます。
これらを組み合わせて、たとえば
「裏熱実証(りねつじっしょう)」(体の奥に余分な熱と老廃物が詰まっている状態)
などと診断し、あなたにピッタリの漢方薬を選び出します。
「なんだか調子が悪いな」と思ったら、いつでもお気軽に漢方相談の扉を叩いてくださいね。
薬草の森はくすい堂では、漢方相談もお受けしています。
電話相談やZOOM相談もありますので、ぜひご連絡くださいね。
(フリーダイヤル 0120-893-181へどうぞ)
お付き合い、ありがとうございました!
(*漢方アドバイザーによって、解釈が少し異なる場合があります。)