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香港の高層ビル火災、竹足場の功績、そしてこれからの安全を願って(前編)

公開日:2025/12/05 更新日:2025/12/05

香港高層住宅群での大火災

香港北部・新界地区大埔(タイポ)の高層住宅群で発生した火災のニュースでは、あまりの大規模な被害が出ていることに言葉を失っています。犠牲になられた方々とご遺族に対し、心より哀悼の意を表します。また、負傷された方々、そして連絡が取れず不安な時を過ごされているすべての方々へ心からのお見舞いを申し上げます。この悲劇が一日も早く終息して香港の街に平穏が戻ることを切に願っています。

香港高層ビルの竹足場

恐ろしく、痛ましい事故の報道の中で、火災拡大の原因の一つとして竹製の足場がクローズアップされていることに、ボクは非常に複雑な思いを抱いています。確かに竹は燃えやすい素材であり、今回の火災でその脆弱性が浮き彫りになった事は重く受け止めるべきだと思っています。しかし、香港の建築文化を長きにわたり支えてきた竹の功績と、それを組み上げて働いてきた職人技の素晴らしさも、あらためて皆さんに知っていただきたいのです。

誇り高き伝統技術としての竹足場

香港の街を歩けば、超高層ビルの外壁を覆い尽くす、まるで芸術品のように張り巡らされた竹の足場を目にしてきました。あの高い高層建築に...!足場が竹...!?そのダイナミズムと職人の技が融合した、香港独自とも言える光景であり、ボクもその迫力ある姿に惚れ惚れさせられた事を思い出します。

高層ビルに使われ続けた竹足場の理由

けれど、どうして現代の摩天楼建設に竹が使われ続けてきたのでしょうか。その理由は、機能性、経済性、そして資源としての持続可能性という、現代にも通じる複数の利点があると考えています。まず、竹は軽く、非常にしなりがあり丈夫で、強風にも折れにくい弾力性を持っています。あの高い場所で作業をする職人さんたちも、その事を十二分に知っているからこそ安心して仕事ができてきたと思うのです。そして、狭い場所や不規則な形状の建物にも、現場で柔軟に対応できる加工性の高さなどの利便性も高密度な香港の建設現場に不可欠だったのだろうと思っています。

天然資源としての優位性

重要なのが竹が持つ資源的優位性です。竹は、中国大陸に豊富にあることは多くの方がご存じの通りですが、木材のように伐採しても植林などすることなくとも、地下茎が伸び次々と生えてくる驚異的な生命力を持っています。わすが3カ月で20数メートルの高さに成長するスピードから、資源としては無尽蔵に近い供給力のある、継続利用可能な唯一の天然資源として多用されてきました。安価で入手しやすい上に、金属と比べて圧倒的に軽いため、運搬や組み立ての労力が少なくて済むという利点に加え、この持続可能性が、長年にわたって香港の建設業界を支え続けることを可能にしてきたのです。

香港の竹への親近感

観光で来られたりした一般の方には、あまり気づかれる人はいないかも知れませんが、大都会の喧騒の中で、資材となる竹材を山のように積み上げた竹屋さんを街角に見かけると、昔からの伝統的な建築技術が今も続いているのだなあと、親近感と好感を持って眺めていました。近づいてみると、どの竹も力強い仕事場の表情をしていたのを思い出します。これらの竹たちを使い、命綱一本であの高さに挑む竹足場職人へのリスペクトは本当に尽きることはありませんでした。