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60年代後半の精神を伝える鳥たち

公開日:2025/07/11 更新日:2025/07/11
魂に力を与える、大きく膨らんだパターンの色彩 リサ・ラーソンの〈Birds〉シリーズは、1967年から彼女のアトリエでひっそりと“巣作り”をしていました。スウェーデンの著名な陶芸家による数々の名作に埋もれ、ほとんど忘れられていたこの鳥たちは、 今、Design House Stockholm によって再び羽ばたき始めています。 「1967年、サンフランシスコ近郊のソーサリートの湾のそばに、半年ほど滞在していたの」とリサ・ラーソンは語ります。「バークレーでピーター・ヴォルコスに陶芸を学んでいたわ。近くのメキシコから来た民芸品の鮮やかな色彩とエキゾチックな模様に出会って、ただ自然と鳥の絵を描き始めたの。製品化のことなんて全く考えていなかった。」 1960年代後半のアメリカは、反戦運動とヒッピー文化の華やかな時代。〈フラワーパワー〉は抑圧に対するメッセージであり、個性と自由な表現の象徴でもありました。そんな時代の空気の中で、リサのカラフルな鳥たちは生まれたのです。若者たちが舞台に立ち、音楽が爆発的に広がった時代の、まさにその一翼を担うような作品でした。
彼女はグスタフスベリの陶芸作品を携えて、初めての長期海外滞在でアメリカ・セントルイスに渡り、展覧会を開きました。その後、夫であるアーティストのグンナル・ラーソン、そして2人の幼い子どもたちとともに、廃車となったパトカーでアメリカを横断。「あの頃のアメリカは本当に楽しくて、花柄だらけの模様に夢中になってしまったの」と振り返ります。この喜びはスウェーデンにいる妹でファッションデザイナーのティッティ・ヴランゲとも共有されており、彼女も同じく大胆な柄のドレスを制作していました。 「当時スウェーデンでは手に入らなかったガッシュの絵具を持ち帰ったの。形は、引退した大工さんが木で削ってくれて、それを私がひとつひとつ手作業でペイントしたの。でも本当に大変だったし、友人に色塗りを任せてみたけど上手くいかなくて、結局諦めて陶芸の仕事に戻ったの。」
こうして生まれた鳥たちは、長年家族のサマーハウス、そして後にはストックホルム郊外の彼女のアトリエに大切に保管されていました。「リサのスタジオを訪れたときに、私はこの鳥たちに出会ってしまったのです」と、Design House Stockholm の創業者、アンダース・フェアディグは語ります。「まるで注目してもらいたがっているかのようで、心を奪われました。なぜこれがまだ製品化されていないのかと。メキシカンな雰囲気、フラワーパワーの大胆なパターン…。リサ・ラーソンの鳥たちはまるで平和の象徴のように感じました。若者たちが戦争に抗議し、新しい社会を夢見ていた時代の記憶です。」 半世紀以上の時を経て、今ようやく〈Birds〉シリーズは自由に羽ばたき始めました。人生を祝福するような鮮やかな色彩、魂を鼓舞する大胆なパターン。1968年のスピリットを、今に伝える希望のかたちです。
リサ・ラーソンが手がけた、鮮やかな色彩の愛らしい鳥たち。 一見すると大胆な色づかいですが、どこか温もりを感じさせ、どんなインテリアにもやさしく寄り添う存在です。 3羽並べてもご覧のとおり、それぞれの色が引き立て合い、調和のとれた美しい佇まいを見せてくれます。
Lisa Larson リサ・ラーソン ストックホルム中心部近郊のナッカにあるリサ・ラーソンのアトリエを訪れることは、まさにスウェーデンデザインの歴史をたどる旅です。70年以上にわたり創作を続けたリサは、人生の最期まで情熱を失うことなく、自らの作品たちをまるで生きている仲間のように大切に扱っていました。彼女のアトリエには、試作品や緻密なスケッチ、丹念に彫られた小さな彫像、そしてアイコニックなフィギュアたちが所狭しと並び、その揺るぎない遺産を物語っています。 鮮やかな色合いが印象的な〈Birds〉シリーズは、1967年に家族とともに訪れたアメリカで初めて生まれましたが、何十年もの時を経てようやく製品化されました。この作品には、リサの強い色彩感覚、明快なグラフィックデザイン、そして民芸への愛情が凝縮されています。またそれは、平和と理解を信じていた時代へのオマージュでもあります。 1954年、ヨーテボリのHDK(クラフト&デザイン大学)を卒業した後、リサはグスタフスベリ陶磁器工場に入社し、芸術監督スティグ・リンドベリのもとで働き始めます。「私たちは年に2回、作品を発表していましたが、いつも私のフィギュアが求められていました。私のインスピレーションは、いつも手の中にあります。スケッチをしたり、深く考えたりする前に、まず手を動かすんです。」 彼女の作品は1950年代にはすでにスウェーデンの家庭に浸透しており、海外でも特に日本では高い人気を誇りました。1981年には日本で初の個展が開催されています。猫や政治家、天使など、さまざまなモチーフが見事に形となり、グスタフスベリで生み出されたフィギュアはおよそ200点にのぼります。 1980年、1つの工場に縛られる生活に終止符を打ち、彼女はフリーランスとしての活動を開始。Åhléns(オーレンス)やKooperativa Förbundet(スウェーデン協同組合連合)、Rosenthal(ローゼンタール)といったスウェーデンの企業向けに、家庭用陶器の制作へとその幅を広げていきました。

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