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ものづくりへのこだわり【ニーチェアエックス】

公開日:2025/06/27 更新日:2026/01/23
ニーチェアエックスには設計図が残されていないため、事業継承後は実機をもとに、一から開発を行いました。 使用されている部品は、わずか6種類。装飾のないシンプルなデザインですが、部品一つひとつが全体の美しさに影響し、安全性や座り心地にも直結するため、ごまかしが利きません。 細部までこだわり抜かれた、部品製造の背景を紹介します。

< シート生地 >

身体を支える丈夫な厚織生地

●生地製造 座ったときにかかる荷重を無理なく支えられる強度を保つため、デニム地と同じ「綾織り」を採用。 デザイナー 新居 猛が生み出した独自の「一度洗ったかのような柔らかさと手触り」を再現するため、生地表面を引っ掻き、毛羽立たせる起毛加工を施しました。 通常は、織った後に染色と撥水加工を同時に行いますが、染色後に起毛加工を施してから撥水加工するという工程を踏んでいます。
●綾織り 経(タテ)糸・緯(ヨコ)糸を1本ずつ交互に組み合わせて織る「平織り」に対し、「綾織り」は経糸が複数の緯糸をまたぐように織る方法。糸の密度を高くして厚地に織ることができ、ふくらみのある柔らかな風合いで、伸縮性に優れ、シワが寄りにくいです。
●生地縫製 背部に補強ステッチを入れることで、椅子の開閉時にシートパイプが動き擦れてしまうことを防ぎ、耐久性を強化しました。 最大で7回折り重なる厚手の生地を縫い上げるため、針や糸の負担も大きく、調子が狂いやすくなります。 わずかな変化が縫製不良につながるため、経験に裏打ちされた繊細な手仕事に支えられています。

< 肘かけ >

身体が触れる所は安心感を与える自然素材

体にあたる部分は「ホッとするから、自然素材のものがいい」と初期から木材を採用。 角度や高さも、人間の腕の構造を考慮し、疲れにくいよう計算して設計されています。
肘かけは、パイプとネジ1本で接続されているため、わずかな穴の誤差がフレームの角度を左右し、座り心地に大きな影響を与えてしまいます。 試行錯誤の末、ニーチェアエックスのために、コンピューター制御の専用加工機を新しく導入。 木材の削り出しから穴あけまでを一貫して加工できるようになり、コストと生産性、加工精度を向上させました。

< シートパイプ >

精密な穴あけ加工

ニーチェアエックスは、シートと肘かけをネジ1本、4箇所で固定しているため、肘かけとパイプのネジ穴が合うよう、精密に計算されています。 また、組み立て時の不具合を改善するため、以前は切削ドリルで行っていた穴あけ加工を、レーザーに変更。 切削で生じる微細な位置のズレや、残留物をパイプ内外に残すことがなくなり、組み立ての際にネジがうまく締められないなどの不具合を解消しました。

< 脚部パイプ >

高度な曲げ技術と、美しさにこだわる姿勢

パイプは、ステンレス板を円筒状に加工し、つなぎ目を溶接することで成形しています。 脚部の美しさをそこなわぬよう、曲げ加工の際には、穴の内部を目視で確認し、溶接跡を内部に向ける工夫をしています。
表面加工は、パイプの過剰な光沢を避け、インテリアにも馴染むように、マットな仕上がりのヘアラインを採用しています。 使用を重ねることで生じる微細な傷や歪みを目立たなくさせるメリットも。経年劣化による補修や塗装の必要がなく、美しい表情を保ちながら、永く愛用できます。

< ネジ >

しっかり締まり、緩めやすく、錆びにくい

劣化で折れることや、錆びついて回らなくなることを防ぐため、初代モデルではスチール製だった材質を、サビに強いステンレス製に変更。 ニーチェアエックスは発売当初から、組み立て、分解のしやすさを考慮し、どの家庭にもあるプラスドライバーだけで作業できるように、十字のネジのみを使用してきました。 ただ、脚部の交差部など、頻繁に閉じ開きをする箇所は、経年で緩みが生じやすかったため、購入後の組み立てが必要な箇所以外は、より締め付け力の強いネジに変更しました。