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【artek(アルテック)】スツール60正規品とリプロダクトとの違いとは

公開日:2025/07/03 更新日:2025/09/02
デザイナーズ家具を探していると、欲しかった家具のリプロダクト品やよく似た家具に出会うことがあるかと思います。 欲しかった素敵な家具が安く手に入るので、素直に嬉しい!と感じる方もいらっしゃると思いますし、正規品とどう違うのか気になったり、不安に思う方もいらっしゃると思います。 キナルでは正規品の家具を取り扱っていますが、今回はそのなかでもartek(アルテック)のスツール60を取りあげて、リプロダクト品や似た製品と比べどんな違いがあるのかについてお話ししていこうと思います。 ———————————————————————— リプロダクト品はオリジナル商品の雰囲気を安く、手軽に楽しむことが出来るのが最大のメリットと言えます。 しかし、見た目だけを似せて作り、実際に使用してみると質感や座り心地がまるで似つかないということもあります。 また、価格を抑えるために加工方法や素材を変えていることがあり、本物にくらべ耐久性や品質が低いものが多いというマイナス面もあります。 今回取り上げるアルヴァ・アアルトがデザインしたスツール60にも、よく似た製品が多くありますが、それらと比較したときに大きく分けて2つの違いがあると思っています。 一つは、その家具をデザインした”デザイナーの思いやこだわりが反映されているかどうか”。 もう一つは”品質と保証”です。

デザイナーの思いが反映されているか

パッと見た感じでも、本物と比べ座面や脚の厚みが薄いものが多いですが、もう少し細部を見ると構造に大きく違いがあります。 《脚部》
——————————————————— スツール60の最大の特徴であり、デザイナーがこだわった脚の構造です。
直角にL字に曲がった木製の脚は「L-レッグ」という名前がついています。 「L-レッグ」誕生の歴史を簡単にお話しすると、 デザイナーのアルヴァ・アアルトは自国フィンランドのバーチ材(白樺)を使って、当時家具によく使われていたスチール脚に代わって、曲がった脚を温かみのある木で作れないかと考えました。
バーチ材は硬くて丈夫な材質ですが、それゆえに曲げるのが難しい材質でもあります。 試行錯誤の末、無垢材の曲げたい部分に切り込みを入れ、そこに薄いベニヤ板を挟み込み、熱を加えることでバーチ材を90度に曲げることに成功しました。
この方法により、厚みのある無垢材を曲げることができ、頑丈で安定した「L-レッグ」が誕生しました。 スツール60に似た製品のほとんどが積層合板を曲げて作られており、無垢材を使用した脚は当店の知るかぎりでは見たことがありません。 アアルトは他にも新しく曲げ木の技術を開発し、”フィンランド産のバーチ材を鉄にかわる丈夫な素材”として確立しました。 《座面》
——————————————————— 座面も積層合板を使用したものがほとんどですが、本物は製造過程で出る端材と無垢材をパズルのように組み合わせ、両側からベニヤ板でサンドして作られています。
座面にはこうした破材を無駄にしない工夫がなされており、環境や効率を考えた構造になっています。
 また中央の空洞は、木材の呼吸による影響を緩和するためにあえて設けられているそう。 スツール60に似たスツールはよくありますが、こういったデザイナーやメーカーの思いが形になった、作り手の思いが感じられる家具はオリジナルならではだと思います。

品質と保証

アルテックの製品はナチュラルでどこか有機的な柔らかさがある印象ですが、その考え抜かれた構造体は非常に丈夫で、何十年もずっと安定して使用し続けられるものとなっています。
 スツール60は1933年にデザインされてから一度も生産が止まることなく作り続けられてきました。 90年という歴史の中で耐久性が証明され、2023年から「生涯保証」というものが始まりました。
2023年1月以降に製造されたすべてのスツール60の箱には生涯保証についてのカードが同封されています。(詳しい内容はアルテックHPでご確認いただけます。また、カードのデザイン等は変更になる場合があります) これは製品の確かな品質と耐久性を証明するもので、なんと50年の保証となっています!アルテックの製品に対する自信が伺えます!
 
 この「50年」という数字は、”これまでの歴史の中でスツール60のほとんどが50年またはそれ以上の年月に渡って使い続けられている”ことに由来する数字であると共に、”新たなスツールを製造するために使用されるフィンランドの白樺の木の最低樹齢”とほぼ同じ年月でもあります。
スツール60の耐久性への自負に加え、次の木が育つあいだ安心して長く使ってもらいたいというアルテックの思いが込められた数字でもあるのです。 何かを作ることは資源を消費することに繋がりますが、 アルテックは、倫理的・環境的影響について、可能な限り配慮し、計画的に伐採された木材を用いるなど、自然の循環を妨げることのないサスティナブルな方法で製品を作り続けてきました。 安全性と耐久性に優れ、実用性と機能性を兼ね備えた持続可能な美しいデザインを作り続けること、そしてそれを何十年もずっと安定して使い続けてもらう、これこそがアルテックの哲学です。 現在、アルテックで生涯保証となっているアイテムはスツール60のみですが、その他の家具も年月を経て耐久性が証明されれば順次生涯保証が始まるそうです。 このように社会や環境に配慮された高品質の家具は、こういった企業理念があってこそ生まれるものであり、リプロダクト品にはない、価格では図ることのできない価値があるのだと思います。
今回は例としてスツール60の生涯保証について触れましたが、実際ここまでの保証期間が設けられている製品はほとんどなく、保証期間はメーカーによって異なります。

 しかし、保証期間が過ぎた後も修理などのアフターメンテナンスを受け付けているメーカーがほとんどで、安心して長く愛用できるのが正規品のメリットといえます。

 すこし説明が長くなってしまいましたが、正規品とリプロダクトの大きな違いについて当店なりの考えを書かせていただきました。
 正規品、リプロダクトどちらを選ぶかは、もちろん個々人の考え方によって異なり、良い悪いでは語ることはできませんが、ものが溢れる時代だからこそ、何を選ぶかは自分の価値観に従って選びたいと個人的には思っています。

 直観を大切にしてみたり、作り手の思いに共感したものを選んでみたり。その選択で皆さんの生活や心が豊かになると嬉しいですし、そういったものをお届けしたいなと日々思っています。

 そして、皆さんがデザイナーズの家具を買う際には、見た目だけではなく少しだけ作り手の考えや思いにも目を向けていただけると嬉しいです。

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