“うまい米”には理由(わけ)がある -農家の情熱が育む至極の一粒-
公開日:2025/10/15 更新日:2025/10/21美郷町(みさとちょう)は、秋田県南部に位置し、東側は奥羽山脈に接する県内有数の穀倉地帯です。町内には114か所もの湧水が確認されており、名水百選(昭和60年・環境庁)に選定された「六郷湧水群」を誇る“水の町”としても知られています。
奥羽山脈からの清らかな水が豊富にあり、代々受け継がれてきた田んぼでは、この水を使って農家の方々が誇りをもって高品質な米づくりを行っています。
奥羽山脈に降った雨や雪解け水は、山肌を伝って川となるほか、一部は地中に浸透して地下水となり、地形の条件によって「湧水」として地表に湧き出します。美郷町は扇状地の扇端部に位置しており、湧水が豊富です。
この湧水は地元で「清水(シズ)」と呼ばれ、きれいな軟水として古くから人々の生活に深く根付いています。酒造りの仕込み水として利用されるほか、多くの家庭では地下水をポンプで汲み上げ、飲み水や生活用水として活用しています。
湧水はせせらぎとなって川へと流れ、この水が田んぼに引かれることで、高品質なお米が育ちます。特に町産米の品質は「県内トップクラス」と農家の方々が胸を張るほどです。
あきたこまちは、「寒冷な気候の秋田県で栽培できるコシヒカリタイプの良食味米」をコンセプトに開発された耐冷性品種です。
ふっくらとした炊き上がりとモチモチとした食感、上品な甘さと旨みで、1984年のデビュー以来、全国トップクラスの知名度と人気を誇っています。
炊きたてはもちろん、お弁当やおにぎりなど冷めてもおいしいのが特徴です。
この地域は横手盆地の中心にあり、地形に恵まれ、雨が降っても災害が少ない土地です。ここでは主に「あきたこまち」を栽培しています。
米づくりでは、祖父や父から受け継いだ昔ながらの手順を大切に守りながら、生育状況や気象条件に合わせた水管理、除草など、日々の工夫を重ねています。
美郷町は水も空気も澄んでおり、農家の私たちはこの自然の恵みを受けながら、一生懸命に手をかけて米を育てています。春の田植えから秋の収穫まで気が抜けませんが、収穫期を迎えると努力が実を結ぶ喜びを感じます。
ここ2年ほどは稲の生育期の高温が品質に影響を与えました。今年は8月以降雨の日が多く、落水(水田の水を抜く作業)のタイミングに細心の注意を払いました。高温が続くと米粒が白く濁るため、気温の高い日はこまめな水の入れ替えで気化熱を利用し、温度上昇を防ぎました。
先祖代々受け継いできた田んぼを、自分の代でもしっかり守っていきたいと思っています。手間暇を惜しまず育てたお米を、たくさんの人に味わっていただきたいです。
奥羽山脈から湧き出る新鮮な水を直接田んぼに使えることが、この地域の大きな強みです。田んぼ1区画あたりの面積は他地域より小さめですが、その分、品質には強いこだわりがあります。
自宅では地下水を汲み上げ、食事や生活用水として利用しており、水のおいしさを日々実感しています。
米は主に「あきたこまち」と「サキホコレ」を栽培。金芽米への精米過程で出る肌糠(はだぬか)を活用した有機質肥料を使い、土づくりにも力を入れています。
また、町内の農家同士で勉強会を開き、肥料の使い方や水管理の工夫、課題の共有などを行うことで、高品質な米づくりにつなげています。
暑さ対策として、水管理に細心の注意を払いました。水をたっぷり入れるだけでなく、気化熱を利用して地温を下げるため、天気や稲の様子を見ながらこまめに調整します。夜間も気温が下がらなかった昨年・一昨年は特に苦労しました。
若い頃に家業の農業を継いで以来、経験を重ねるうちに米づくりの奥深さとやりがいを感じるようになりました。これからも「安全・安心な食」を大切に、美郷町ならではのおいしいお米を作り、皆さんに届けていきたいです。