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まな板とカッティングボードの似ているようで違う話

公開日:2025/03/12 更新日:2026/07/14
台所に立つたび、当たり前のように使っている「まな板」。最近はおしゃれな「カッティングボード」も増えてきて、「結局、何が違うの?」と聞かれることがあります。同じ“木の板”なのに呼び名が変わるのはなぜか。少し整理してみました。
そもそも「まな板」とは まな板は、日本の台所で育ってきた調理の道具です。 語源は「真魚板(まないた)」。“真魚”とは食材としての魚のことで、もとは魚をさばくための板を指していました。つまり、まな板は「切るための場所」。切った食材は皿へ移し、板はまた台所に戻っていく。主役はあくまで料理であって、板は黒子のような存在です。 素材には、いちょう・朴(ほお)・檜(ひのき)・柳といった、やわらかい木が好まれてきました。やわらかい木は、包丁の刃にやさしいからです。
「カッティングボード」とは カッティングボードは、西洋の食卓から来た道具です。 パンやチーズ、生ハムを切って、そのまま食卓に出す。切る道具であると同時に“盛りつける器”でもある——ここが大きな違いです。だからウォルナットやオーク、アカシアといった硬く色味の濃い木が使われ、持ち手や吊り下げ穴など、見せることを意識したかたちのものが多くなります。
岐阜でイチョウのまな板をつくっている友人の woodpecker(ウッドペッカー)の福井さんも、この二つをこんなふうに分けています。キッチンになじむのが「まな板」、食卓にそのままサーブできるのが「カッティングボード」だと。 道具としての出発点が、「台所で切る」のか「食卓で見せる」のか。素材やかたちの違いは、その目的の違いから自然と生まれているわけです。
刃物に関わる者として思うこと 刃物のまち・三条で仕事をしていると、まな板選びは「包丁の寿命」に直結するのを日々感じます。 硬い木や金属、樹脂のまな板は、見た目や手入れの面で利点もありますが、刃にはやさしくありません。とくに薄くて硬い和包丁は、まな板しだいで切れ味の持ちが変わってきます。切るたびに刃を受け止めてくれる相手だからこそ、何の板を選ぶかは案外おろそかにできないのです。 やっぱり、朴ノ木がオススメ。 朴は、刀の鞘(さや)や柄(つか)に古くから使われてきた木でもあります。刃を錆びさせず、傷つけず、湿気を程よく吸って、反りにくい。もともと“刃物を守る”ために選ばれてきた木なんです。 その朴で切ると、刃あたりがやわらかく、トントンという音まで心地いい。軽くて乾きが早く、においも移りにくい。傷はつきやすいけれど、削り直せばまた蘇る。 刃物をいちばんいい状態で支えてくれる木...... そう考えると、朴ノ木のまな板は、刃物の世界から見てもいちばん自然な相棒なのかもしれません。毎日手にふれる道具だからこそ、ひとつ“好き”が見つかると、台所に立つ時間が少し豊かになります。 あなたのお気に入りの一枚も、ぜひ探してみてください。
更新日:10/03(09/26〜10/02集計)