生後1か月までに治ったはずの乳児湿疹。生後3カ月ころのお子さんのパパ・ママから「ちゃんとケアしているのに、なぜ?」といった相談が続いています。
お話を聞けば、生まれた時から熱心にスキンケアに取り組んでいる方がほとんどです。また、生後数週間に新生児脂漏性湿疹になり、医師から塗り薬を処方してもらい、症状が落ち着いた方もいます。乳児湿疹の相談では、直接観察するのが一番です。しかしオンライン相談では観ることができないため、症状について伺った後、赤ちゃんのお顔の写真を見せていただき、肌に触れた時の感触(すべすべ・ざらざら・かさかさなど)を教えていただいています。
そこで、生後3カ月ころまでのお子さんによくみられる新生児にきび、乳児脂漏性湿疹についての相談に、私がどのように助言しているのか、一部紹介させていただきます。
相談者のお子さんに共通する症状は、脂っぽさです。時期的なものからして、「新生児にきび」または「乳児脂漏性湿疹」が疑われます。
新生児にきびは、生後1週間から1カ月に見られます。頭や額、眉に赤や黄色の発疹が見られます。原因は、皮脂分泌が多いことで、毛穴が詰まったことによるものです。
乳児脂漏性湿疹は、生後1から3・4カ月ころに見られ、頭や眉、頬などに、バターを塗ったような発疹が見られます。脂漏(しろう)が、かさぶたやうろこ状になっていることもあります。
新生児にきび・乳児脂漏性湿疹ともに、母親の胎盤を介して赤ちゃんに移行した女性ホルモンが皮脂腺を刺激することで、脂肪分泌過多となったことで毛穴が詰まったり、その脂肪が酸化分解し皮膚炎を起こしています。
対策は、スキンケアの基本である清潔(お湯・石鹸の泡)、十分なすすぎ、保湿・保護です。
まず、ぬるま湯で余分な汚れを洗い流します。汚れの8割はお湯で洗い流せます。そうすることで、石鹸の量を減らすことができます。
次に石鹸で洗いますが、石鹸の泡は、できるだけきめ細かくします。そうすることで、皮膚にやさしくなるだけでなく、汚れも落ちやすく(泡が油を吸い込んでくれるが必要な皮脂は残す)なります。
洗い終わったら、石鹸分が残らないように十分にすすぎます。目安は、触れたとき、ぬるぬるしないことです。弱酸性の洗浄剤は、洗浄成分が残りやすいので、より丁寧に洗い流してください。
お湯で十分すすいだら、柔らかいタオルで押さえ拭きし(少々水気が残っていても大丈夫です)、肌の乾燥が始まる5分前までに保湿をします。これで、洗う前の肌よりも高い水分量を保つことができます。
多くの相談者は、基本的なスキンケアを行っています。それでは、何が足りないのでしょうか。
新生児にきび・乳児脂漏性湿疹の対策で誤解していること
\洗浄剤の選択の誤り/
新生児にきびや乳児脂漏性湿疹を起こしている赤ちゃんの場合、弱酸性の泡タイプの洗浄剤を使用されていることが大部分です。この洗浄剤が悪いわけではありませんが、脂っぽい皮膚の汚れ落としには向いていません。
脂っぽい汚れには、弱アルカリ性の石鹸が向いています。弱アルカリ性石鹸は、汚れをしっかり落とすだけでなく、泡切れが良くすすいだ後に洗浄成分が残りにくいのが特徴です。
スキンケアには、「弱酸性」という言葉が浸透しているため、「弱アルカリ性」と聞くと肌に悪いのではないか心配する方もいます。しかし、そのようなことはありません。石鹸分が肌(汚れ)に触れると、すぐに中性化しますし、健康な皮膚であれば石鹸分を洗い流した後、速やかに弱酸性に戻っていきます。少々、つっぱり感が出ますが、保湿で補えば十分です。
新生児にきびや乳児脂漏性湿疹が見られる赤ちゃんには、弱アルカリ固形石鹸の使用をお勧めします。大人用石鹸を使用することもできますが、赤ちゃんの肌はデリケートなので、低刺激で香料や着色料、防腐剤を含んでいないことを確認して使用してください。
肌が脂っぽい間は、弱アルカリ性石鹸を使用し、乾燥がみられるようになったら、弱酸性の洗浄剤に変えるとよいでしょう。しかし石鹸の使用を続けても問題ないことも少なくありません。ツッパリ感対策として保湿で対応できます。大事なことは肌の状態にあった洗浄剤を選ぶことです。
弱酸性の洗浄剤は、肌に優しいものの、一方で泡切れが悪く、残った洗剤分が肌を刺激することがあります。髪の生え際や耳の後ろ、首・わきの下など皮膚が重なった部分も十分に洗い流しましょう。
\お風呂前の前処理を行う/
肌がガサガサして固くなっていたり、脂漏などによるかさぶたがこびりついていたりする場合には、お風呂に入る前に、前処理をします。
お風呂に入る10分くらい前に、ガサガサした部分や脂漏がこびりついた部分に、ベビーオイル、亜鉛華軟膏、ワセリンなどをたっぷり塗ります。その後、たっぷりの泡で洗い流してください。徐々に、症状が落ち着いていきます。
いつ、どこを受診したらよいかと聞かれます。弱アルカリ性の石鹸を使用し、基本的なスキンケアを行えば、1週間ほどで効果が表れ始めます。症状が軽減しない、もしくは悪化するようであれば、小児科または皮膚科の受診を勧めています。
以前、病院でもらったお薬を使ってもよいかと聞かれることが多々あります。どのような軟膏(非ステロイド、ステロイド)を使っているかを確認します。多くは、新生児にきびや乳児脂漏性湿疹に使えるものです。ただ、正しい塗り方ができていない方が多いようです。
大部分の方は、薄く塗り、見た目が落ち着いたらすぐに薬を塗るのを止めています。薬は刷り込まず、湿疹を覆うようにたっぷりと塗ります。見た目の症状が落ち着いていても、皮膚の下で炎症が続いていることがあります。繰り返し、湿疹を繰り返すのは、このためです。いつまで軟膏を塗るかについては、医師の指示に従ってください。炎症がなくなった後は、基本のスキンケアを続けてください。
軟膏は、保湿の前・後どの時点で塗ったらよいかと聞かれます。どちらでも構いません。個人的には、保湿前に薬を塗り、それを覆うように、てかてか、べたべたするくらい保湿をするように勧めています。
赤ちゃんがぐずったり、顔をこすりつけたり、寝つきが悪くなったり、夜泣きが強くなっていることに、乳児湿疹が関連していることがあります。毎日のスキンケアを負担に感じるかもしれませんが、習慣化すればそれほどでもないでしょう。
育児で余裕がないかもしれませんが、肌は、外からの刺激から守り、皮膚の乾燥や殺菌の増殖を防ぎ、体温調節作用などを担うなど、健康を維持するうえで重要な役割をしています。この機会に、家族のスキンケアについても考えましょう。