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赤ちゃんの小さなサインを見逃さない熱中症・脱水症ケア

公開日:2026/08/07 更新日:2026/08/07
本記事は佐藤珠美先生によるコラムで、 「乳幼児のスキンケア」「寝かしつけ」「抱っこ」など、 産後のママが抱えやすい悩みに寄り添いながら、毎日の育児に 役立つ情報をわかりやすく発信しています。

この夏を元気に乗り切る!

【赤ちゃんの小さなサインを見逃さない熱中症・脱水症ケア】 近年、体温を超える37℃や40℃といった猛暑日が続いており、室内でも熱中症への対策が欠かせません。特に赤ちゃんは、大人に比べて体に占める水分量の割合が非常に高い(大人:約60%、乳児:約70%、新生児:約80%)のが特徴です。そのうえ、体温調節機能が未熟なため外気の影響を受けやすく、大人よりも熱中症や脱水症を起こすリスクが高くなります。 そこで、赤ちゃんにとって熱中症や脱水症がなぜ危険なのか、その理由と、早期発見のサイン、予防・対策について詳しく解説します。

赤ちゃんの熱中症と脱水症が危険な理由

赤ちゃんは、大人の2~3倍と大の汗っかきですが、体温調節機能が未熟なため、体温が上がっても大人のように上手く汗をかくことができません。そのため、体に熱がこもる「うつ熱」や、命に関わる「熱中症」を引き起こしやすくなります。 ・「うつ熱」とは 高温多湿の環境や服の着せすぎなどが原因で、一時的に体に熱がこもった状態です。手足まで熱くなりますが、比較的元気なのが特徴です。軽度であれば、服を脱がせる、涼しい部屋へ移動する、といった速やかな対応ですぐに体温が下がり、元気を取り戻します。 ・「熱中症」とは 高温多湿の環境で大量の汗をかき、水分や塩分が失われて脱水状態になった危険な状態です。うつ熱とは異なり、体温が高いのに手足が冷たい、ぐったりしている、顔色が悪い、呼びかけへの反応が鈍いなどの重い症状が見られます。放っておくと臓器や脳に深刻な負担がかかります。 赤ちゃんは「暑い」「のどが渇いた」といった不調を言葉で訴えることができません。また、自分で涼しい場所へ移動することもできません。だからこそ、周りの大人が赤ちゃんのサインに早く気づき、安全で快適な環境を整えて守ってあげることがとても大切です。

熱中症や脱水症状の早期発見

赤ちゃんの異変にいち早く気づけるのは、日ごろから一番近くで見守っている親御さんです。「いつもと違う」「何かおかしい(元気がない、食欲がない、泣き方が弱い、反応が鈍い)」という直感はとても大切です。 少しでも違和感を覚えたら、すぐに次の「早期発見のサイン」を確認しましょう。 ①おしっこの回数と色 回数がいつもより減っていたり、色が濃くなっていたりしませんか? 赤ちゃんは水分をとった分だけおしっこを出します。回数の減少や濃い色は脱水のサインです。 ②口や唇の乾燥 口の中や唇がかさかさと乾いていませんか? 唇がカサカサに乾き、荒れている。舌がねばねばしている。よだれが減るなどは、脱水が進んでいるサインです。 ③頭頂部(大泉門)のへこみ 頭のてっぺんにある柔らかい部分(大泉門)が、いつもよりペコッとへこんでいませんか? 頻回の嘔吐や下痢などが続くと、脱水が進み、大泉門にへこみがみられるようになります。おしっこの色や唇の乾燥などと合わせて観察し、このような症状が見られたら、急ぎ医療機関を受診しましょう。 ④皮膚の状態 肌に触れたとき、しっとり感がなく乾燥していませんか? 皮膚の乾燥にあわせて、ハリも一緒に観察しましょう。皮膚をつまんで離したときに、後が残るようであれば、脱水が進んでいます。 ⑤体温と赤み 顔や耳の後ろ、お腹や胸を触ると熱くなっていませんか? 顔や皮膚が赤く、身体が熱いと感じたら、頭や背中にびっしょりと汗をかいていないかを確認しましょう。 これらの症状に気づいたら、すぐに衣類を脱がせ、掛け物を取り除き、涼しい部屋に移動させて、体温や呼吸の様子などを注意深く観察します。

予防と初期対応

熱中症や脱水症を防ぐためには、日頃からの環境づくりと、早めの対応が大切です。具体的なポイントを4つに分けてご紹介します。 ① 室内の環境づくり(エアコンの活用) 赤ちゃんのいるお部屋では、室温26〜28℃、湿度50〜60%を目安にエアコンを活用しましょう。ただし、風が赤ちゃんに直接当たったり(皮膚の熱が奪われる)、冷気が溜まりやすい「床」にそのまま寝かせたりすると体が冷えすぎてしまうため、ベッドやマットの配置、そして掛け物などを工夫してください。 ② こまめな水分補給 離乳食の開始前 母乳やミルクを欲しがるだけ与えましょう。母乳の場合は、ママの水分補給が赤ちゃんへの水分補給に直結します。成人が必要な水分量に加え、赤ちゃんが必要とする量、約2リットルは必要です。毎回、おっぱいを上げる前に、水分をとってください。ミルクの場合は、赤ちゃんが汗をかいていれば、授乳間隔を少し短くするか、1回のミルクの量を20mlほど増やしてあげると良いでしょう。 離乳食の開始後 湯冷ましや薄めた麦茶、子ども用のイオン飲料などを、スプーンやベビー用マグで10ml程度からこまめに飲ませてあげてください。 ③ 衣服の工夫と汗対策 衣類は通気性や吸湿性の良い綿、ガーゼ、メッシュ素材を選び、「大人より1枚少なく」が原則です。最近では竹繊維を使った肌着やスリーパーも人気です。 なお、赤ちゃん用の接触冷感・速乾衣類では、化学繊維の割合が多いと肌荒れの原因になることもあります。肌の様子を見ながら使用しましょう。汗をかいたら、濡らした柔らかいタオルで優しく拭き取り、こまめに着替えさせます。下着は、汗を吸い取る大切な衣類です。暑い夏は、下着1枚で過ごすこともできます。汗をかいたら、こまめに着替えさせてください。 ④ 寝具の工夫と熱ごもり防止 通気性の良い立体メッシュ構造のマットや、皮膚の温度を快適に保つ「温度調節素材」の敷布団なども効果的です。 布団に熱や湿気がこもるのを防ぐため、外干しや布団乾燥機でしっかり乾燥させましょう。乾燥させた直後の温かい布団は、エアコンの効いた部屋で一度冷ましてから赤ちゃんを寝かせます。また、敷布団やマットレスは1日に1回、壁に立てかけるなどして通気を良くしておきましょう。

応急処置

赤ちゃんに熱中症の症状が見られたら、迷わず次の「応急処置」を行ってください。 涼しい場所へ移動する エアコンの効いた室内や、風通しの良い日陰にすぐ移動させます。 服をゆるめて熱を逃がす 衣服を脱がせたりして、体にこもった熱を逃がします。 太い血管がある場所を冷やす 濡らしたタオルや保冷剤(必ずタオルに包む)を使い、「首の後ろ」「わきの下」「足の付け根(股の間)」の3箇所を冷やします。 水分を補給する 意識がしっかりしていて、自分で飲めるようであれば、母乳・ミルク、または赤ちゃん用のイオン飲料を少しずつ飲ませます。
【重要】受診の目安と「#8000」の活用 水分を飲めない場合や、ぐったりしているときは、様子を見ずにすぐに医療機関を受診(重症なら119番通報)してください。 もし「少し元気は戻ったけれど、念のため病院に行くべき?」と迷ったときは、「#8000(子ども医療電話相談)」にダイヤルしましょう。小児科医や看護師から、今すぐ受診すべきか、お家で様子を見てよいか、専門的なアドバイスがもらえます。

まとめ

赤ちゃんの熱中症や脱水症は、体温調節機能が未熟なために急激に悪化しやすいリスクがあります。しかし、日頃の予防対策や、大人の「早期発見・早期対応」によって、予防し、守ってあげることができます。 この猛暑を乗り切るために、以下の症状が見られた場合は「危険なサイン」として、ためらわずにすぐにかかりつけ医や医療機関を受診してください。 ぐったりして元気がない 何度も吐いてしまう おしっこが半日以上出ていない、または色が非常に濃い 「災害級の暑さ」が新たな日常(ニューノーマル)となりつつある今、大切な赤ちゃんを守るためには、まずは大人自身が正しい暑さ対策を身につけ、ゆとりを持って見守ることが何よりの予防になります。 家族みんなでしっかりと対策を行い、この厳しい夏を元気に乗り切っていきましょう!
更新日09/12(09/05〜09/11集計)