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乳児を育てている家庭の災害対策

公開日:2026/08/16 更新日:2026/08/25
本記事は佐藤珠美先生によるコラムで、「乳幼児のスキンケア」「寝かしつけ」「抱っこ」など、産後のママが抱えやすい悩みに寄り添いながら、毎日の育児に役立つ情報をわかりやすく発信しています。

9月1日「防災の日」の前に考える

乳児を育てている家庭の災害対策

日本は地震や台風、線状降水帯による大雨など、自然災害が相次ぐ「災害大国」です。近年は複数の災害が時間差で発生する複合的災害も増え、被害が深刻化しています。毎年の「猛暑」も一種の災害と捉えるならば、防災イベントは、非日常ではなく、日常の延長線上で考えるべき課題です。 先日、被災地支援に長年取り組む授乳服・マタニティ服のパイオニア「モーハウス」の代表からメールをいただきました。2016年熊本地震の被災者へ授乳服を届けた実績とともに、「必要とされる場所があれば、授乳服を防災備蓄している自治体へ繋ぎたい」という内容でした。 このたび、ホワイトラパンの通販サイトにてモーハウスの授乳ブラなどの取り扱いが開始されました。これをきっかけに、9月1日の「防災の日」を前に、乳児を育てているご家庭の災害対策について皆さまと一緒に考えてみたいと思います。

乳児を育てながらの災害対策

乳児がいる家庭の災害対策は、一般的な防災対策とは必要な物資も避難環境も全く異なり、乳児期特有の「特別な準備」が必須です。一部自治体では避難所への「ベビーケアルーム」の設置、「授乳服の備蓄」といった先進的な取り組みを始めていますが、お住まいの地域によって対策のバラツキ、格差が大きいのが現状です。

赤ちゃんを守る防災

一般的に何らかの防災対策をしている人の割合は、世帯全体の約40〜60%程度と言われています。 一方で、赤ちゃんの防災対策や備蓄について「十分にできている」と答えた親御さんの割合は、わずか5%未満。多くのご家庭が「赤ちゃんのために何を、どれくらい準備すべきか把握できていない」ようです。対策が進まない要因の一つが、赤ちゃんの「成長の速さ」です。災害用に衣服やオムツを準備していても、いざというときにはサイズが合わず、使えなくなってしまうケースが少なくありません。頻繁な見直しが必要となり、日々の育児に追われる親御さんにとって大きな負担です。特にオムツはあっという間にサイズアウトするため、まとめ買いはせず、1パックずつ購入するのが賢明です。 ベビー服や肌着も数週間から2か月ほどで着られなくなります。だからこそ、日常のなかで自然に備える「フェーズフリー」や「ローリングストック」という考え方が、極めて重要です。 一般的に何らかの防災対策をしている人の割合は、世帯全体の約40〜60%程度と言われています。その一方で、赤ちゃんの防災対策や備蓄について「十分にできている」と答えた親御さんの割合は、わずか5%未満。多くのご家庭が「赤ちゃんのために何を、どれくらい準備すべきか把握できていない」ようです。 対策が進まない要因の一つが、赤ちゃんの「成長の速さ」です。災害用に衣服やオムツを準備していても、いざというときにはサイズが合わず、使えなくなってしまうケースが少なくありません。 頻繁な見直しが必要となり、日々の育児に追われる親御さんにとって大きな負担です。特にオムツはあっという間にサイズアウトするため、まとめ買いはせず、1パックずつ購入するのが賢明です。ベビー服や肌着も数週間から2か月ほどで着られなくなります。 だからこそ、日常のなかで自然に備える「フェーズフリー」や「ローリングストック」という考え方が、極めて重要です。

フェーズフリーとローリングストック

「フェーズフリー」とは、日常と非常時の区切りをなくし、普段使っているモノやサービスを災害時にも役立てるという新しい防災の概念(備えない防災)です。特別な準備や保管の手間を減らし、暮らしを豊かにしながら災害に強い自分や社会をつくります。 「ローリングストック」とは、普段の食品や日用品を少し多めに買い、使った分だけ買い足すことで、常に一定量を家の中に備蓄しておく方法です。これなら消費期限切れを防げます。赤ちゃん用の備蓄では、普段使うものを少し多めに買い、使った分だけ新しく買い足します。最低3日分の準備が必要です。 赤ちゃん用の防災グッズを特別に準備しなくても、普段から愛用している「ミルク&オムツ替え便利セット」をそのまま災害時に活用すれば、立派な対策になります。ただし、避難の必要がなくても、インフラが止まることがあるので、そのことを想定した準備をしておく必要があります。

授乳法で異なる防災対策

災害時に赤ちゃんの栄養を確保することは極めて重要です。しかし災害時は、インフラの停止によってミルクを作ることが難しくなり、哺乳瓶の洗浄や消毒も十分にできない可能性があります。そのため、普段の授乳法によって、備えるべきものや対策が異なります。
① 母乳での対策 災害のストレスによって一時的に母乳が出にくくなることがありますが、繰り返し吸わせていれば必ず分泌は戻ります。「分泌が少ない」と気にする必要はありません。 赤ちゃんは、おっぱいを吸うことで安心感を得られます。 心配せずに欲しがるだけ飲ませましょう。母乳は栄養だけでなく、脱水予防を兼ねた最高の非常食になり、消毒や温め直しの必要がなく、その場ですぐに与えられます。ただし避難所では簡易授乳室などの設置はまだ少なく、利用できるまでに時間がかかるかもしれません。 周囲の目を気にせず、安心して授乳するためにはプライバシーの確保が必要です。そこで準備しておきたいのが授乳用ケープですが、猛暑の環境ではケープのなかに熱がこもる心配があります。 そこで、普段に「授乳服」を試されてみてはいかがでしょうか。おっぱいが授乳口から見えないように設計された服や専用インナーを活用すれば、周囲の人には「ただ赤ちゃんを優しく抱っこしているだけ」に見えます。授乳服がない場合は、通気性が良く蒸れにくい大判の「綿の風呂敷」をケープ代わりにすることをお勧めします。 そのほか、母乳の大部分は水分です。母親自身が1日2〜2.5リットル程度の水分を摂取する必要があります。ミネラルウォーターは多めに準備しておきましょう。また、万が一のときのお守りとして、未開封なら常温で約9か月から1年6か月保存できる液体ミルクを準備しておくのも安心です。
② ミルクでの対策 ライフラインが復旧するまでは、調乳や哺乳瓶の消毒が困難になります。そのため、ミルク育児のご家庭には「乳児用液体ミルク」と「専用アタッチメント」、または「使い捨て哺乳瓶」の備えが必要です。 1日に5〜6回授乳するとして、最低限必要な3日分を想定すると、15〜20本程度必要になります。液体ミルクは、未開封であれば常温で約9か月〜1年半もの長期保存が可能です。使い捨て哺乳瓶がない場合は、「カップ授乳」を行うこともできます。これらは災害時のぶっつけ本番では難しいため、防災訓練を兼ねて自宅で試しておくと慌てずに対応できます。 ③母乳とミルクの混合での対策 母乳は欲しがるたびに吸わせてください。先ほども述べましたように、おっぱいを吸ってもらうことで、母乳分泌が維持・促進されます。母乳の大部分は水分です。いつもより水分をとってください。その他は、ミルクでの対策と同じです。
★授乳以外の災害グッズ 赤ちゃん用の荷物は、先にご説明したように「ミルク&おむつ替えセット」などと一緒に1つにまとめておくと、いざというときにそのまま持ち出すことができます。最低でも3日間は自力でしのげる量を準備しておきましょう。 必要な主なグッズは以下の通りです。 排泄・衛生用品: 紙オムツ、おしりふき(多めに)、使用済みオムツを入れる遮臭(防臭)袋、除菌ウェットティッシュ 衣類・布類: 着替えセット、バスタオル、おくるみ、ガーゼ、ハンドタオル(バスタオルやおくるみは、敷物や防寒具としても使えます) 移動用品: 抱っこ紐(災害時の移動では、両手が空く抱っこ紐が便利です) 健康・医療: 母子健康手帳、健康保険証、体温計、冷却シート 心のケア: お気に入りのおもちゃ(避難所を想定し、音が出ないものなど)

まとめ

赤ちゃんの災害対策は特別なものではありません。災害時でも日常と同じように継続してお世話ができることを意識して準備しましょう。ポイントは、「フェーズフリー」と「ローリングストック」です。また、災害はいつやってくるか分かりません。赤ちゃんがいるご家庭では、成長にあわせて年に複数回、定期的に災害訓練を行うことが勧められています。 9月1日の「防災の日」を迎えるにあたり、まずはできることから一歩を踏み出してみませんか。いざというときの行動について、ぜひご家族で話し合い、シミュレーションする機会を設けてみてください。
更新日09/13(09/06〜09/12集計)