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せたがや介護ができるまで|私たちが「服ではなく、安心を売る」理由

公開日:2026/08/30 更新日:2026/09/01
せたがや介護は、介護の衣類を販売するお店です。 トップスやズボン、肌着、パジャマ、靴下など、さまざまな衣類を取り扱っています。 でも、私たちが本当にお届けしたいと思っているものは、衣類だけではありません。 「これを選べば大丈夫」 そう思っていただける安心をお届けしたい。 私たちがそう考えるようになった背景には、三軒茶屋で70年以上、お客様と向き合ってきた歴史と、今でも忘れられない一人のお客様との出来事があります。

はじまりは、三軒茶屋の肌着屋でした

私たち株式会社三恵は、1953年、東京・三軒茶屋で肌着工場の直販店としてスタートしました。 当時お店に並べていたのは、百貨店にも納める品質の綿の肌着でした。 工場から直接販売することで流通コストを抑え、 「いい肌着を、できるだけお求めやすく」 地域のお客様にお届けしていました。 そんなお店を続けていると、お客様からいろいろな声をいただくようになりました。 「肌着だけじゃなくて、靴下はないの?」 「洋服も置いてくれたらいいのに」 それなら、お客様が必要としているものを置こう。 そう考えて、少しずつ品揃えを増やしていきました。 肌着から靴下へ。 洋服、帽子、タオル、靴へ。 気がつけば、暮らしに必要なさまざまな衣類や服飾雑貨が揃う店になっていました。 振り返ってみると、私たちの店は昔から、お客様の声を聞きながら少しずつ姿を変えてきたのだと思います。 品揃えを豊富にすること。 お客様が探しているものを見つけて、ご案内すること。 それが、お客様のお役に立つことだと私たちは考えていました。

「全部、使えないと言われました」

時代とともに、お店には介護の衣類を探して来店される方も増えてきました。 「施設に入る母の洋服を探しています」 「着替えやすいズボンはありませんか?」 「高齢の父でも着やすい肌着はありますか?」 もともと年配のお客様にも長くご利用いただいていたため、介護の場面でも使いやすい衣類はたくさんありました。 お話を伺いながら、 「でしたら、こちらはいかがでしょう」 と一緒に服を探す。 喜んで帰っていただける。 私たちも、それでお役に立てていると思っていました。 ところが2014年頃。 その考え方だけでは十分ではないことに気づかされる、今でも忘れられない出来事がありました。 その日来店されたのは、50代くらいの男性でした。 仕事帰りだったのでしょうか。 スーツ姿の、いわゆるサラリーマン風の方だったと記憶しています。 お話を伺うと、お母様が施設に入ることになり、肌着などの衣類を一式揃える必要があるとのことでした。 お母様のお好みの色。 普段着ているサイズ。 お好きな素材。 一つひとつ伺いながら、一緒に服を選びました。 必要なものが一通り揃い、 「これで大丈夫ですね」 男性も安心された様子で帰っていかれました。 私たちも、きちんとお役に立てたと思っていました。 ところが数日後。 その男性が、もう一度お店にいらっしゃいました。 前回とは違って、曇った表情をされていました。 お話を伺うと、 「施設の方から、全部使えないと言われました」 とのことでした。 サイズは、もっと大きいものが必要だった。 肌着も、頭からかぶるタイプではなく、前開きでなければならなかった。 私たちは、お母様のお好みも、サイズも、素材も伺いました。 衣類についても、一生懸命ご説明しました。 その時の自分たちなりに、丁寧に接客したつもりでした。 それでも、実際にはお役に立てなかったのです。

「商品ではなく、安心を売る」

なぜ、うまくいかなかったのだろう。 考えてみると、私たちが伺っていたことだけでは足りませんでした。 どこで暮らしているのか。 普段、どのように過ごしているのか。 ご自身で着替えられるのか、介助が必要なのか。 身体をどのくらい動かせるのか。 施設から衣類について指定されていることはないか。 洗濯はどのように行われるのか。 同じ「Mサイズの肌着を探しています」というご相談でも、その方の暮らしや身体の状態、介助の方法によって、選ぶべき衣類は変わります。 たくさんの衣類を揃えて、その中から一生懸命選ぶだけでは足りない。 お客様が何に困っていて、どんな暮らしをされていて、どんなふうにしたいのか。 そこまできちんと伺ったうえで、一緒に考える必要がある。 そして、そのためには私たち自身にも、介護や身体、衣類についての知識が必要でした。 当時は、今のようにきれいに頭の中で整理できていたわけではありません。 ただ、 「もっとできたはずなのに」 という悔しさと、お客様への申し訳なさが残りました。 そんな経験をきっかけに、手帳に書き残した言葉があります。 「商品ではなく 安心を売る!」 今見ると、たった一行の走り書きです。 でも、このとき書いた「商品ではなく、安心を売る」という考えは、その後の私たちの店づくりの原点になりました。 服を売るだけではなく、その先にある安心をお届けする。 その考えは、今も変わっていません。

現場で学び、実店舗から「せたがや介護」へ

そのためには、まず私たち自身が、もっと介護の衣類について知らなければなりませんでした。 衣類について学ぶことはもちろん、近隣の介護施設などへの移動販売も行いました。 施設で暮らす方には、どんな衣類が選ばれているのか。 ご本人は、どんなことに困っているのか。 介護をする方は、衣類のどんなところを見ているのか。 店頭にいるだけでは分からなかったことを、少しずつ知っていきました。 そして、そこで学んだことを実店舗の売場にも持ち帰りました。 ただ「介護に使いやすい衣類」を集めて並べるのではなく、 「これは、どんな方に向いているのか」 「どんな困りごとの助けになるのか」 を、できるだけ分かりやすく伝える。 そんな売場を少しずつつくっていきました。 今、当時の写真を見ると、衣類もPOPもたくさん並んだ売場です。 でも、一つひとつのPOPには、 「この服のどこが便利なのか」 「どんな方に使いやすいのか」 を、少しでも分かりやすく伝えたいという思いがありました。 お客様から教えていただく。 介護の現場で学ぶ。 それを売場に持ち帰る。 そして、またお客様の声を聞く。 そんなことを繰り返すうちに、私たちの中で一つの考えが生まれました。 この売場でやっていることを、インターネットでもできないだろうか。 近くに介護衣料を相談できるお店がない方にも、衣類の特徴や選び方を伝えたい。 介護の衣類を初めて探す方にも、「自分にはどれが合うのだろう」と迷ったときの手がかりを届けたい。 実店舗で一人ひとりのお客様にお伝えしてきたことを、インターネットでも届ける。 そこから、ECの「せたがや介護」へとつながっていきました。 私たちにとって「せたがや介護」は、インターネットの中だけで生まれたお店ではありません。 三軒茶屋の実店舗で、お客様と接しながら学び、試してきたことを、インターネットでも届けようとしたことが、その始まりです。

2024年、「相談できる店」へ

そして2024年。 店舗移転が、もう一つの大きな転機になりました。 新しい店舗をつくるなら、単に衣類をきれいに並べるだけではなく、 介護の衣類が必要になったとき、安心して相談していただける店にしたい。 そう考えました。 衣類をたくさん揃えることから、 たくさんの衣類の中から、その方に合うものを一緒に考えることへ。 そのために取り組んだことの一つが、理学療法士・作業療法士の採用でした。 とはいえ、私たちは病院でも介護施設でもありません。 小売店です。 最初は、理学療法士や作業療法士をどうやって採用すればいいのかさえ分かりませんでした。 専門職向けの求人サイトを見つけ、問い合わせてみました。 すると運営会社の方から、 「病院ですか?」 「リハビリテーションセンターですか?」 「介護施設ですか?」 と聞かれました。 「いえ、小売店です」 と答えると、 「前例がないので、掲載できないかもしれません」 と言われました。 それでも、介護の衣類を扱うのであれば、身体について専門的な知識を持つ人がいることは、きっとお客様の安心につながる。 そう考えて採用を進めました。 現在は、理学療法士や作業療法士が、せたがや介護の販売スタッフとして店頭に立っています。 また、それぞれ病院や介護施設などの現場でも働いています。 身体についての専門的な知識だけでなく、実際の介護やリハビリテーションの現場ではどんなことが起きているのか。 私たちも日々、専門職のスタッフから学んでいます。

「どれを選べばいい?」に答えられるように

介護の衣類は、一見すると違いが分かりにくいものも少なくありません。 たとえば、同じ前開きの肌着でも、 大きめのボタン。 斜めに設けられたボタンホール。 スナップボタン。 面ファスナー。 それぞれに特徴があり、身体の状態や着替えの方法によって、使いやすさも変わります。 そこで店頭では、作業療法士のスタッフも売場づくりに参加しています。 衣類の機能をそのまま説明するだけではなく、 「指先に力が入りにくい方には?」 「しびれがある方には?」 「自分で着替えたい方には?」 といった視点から、衣類の特徴をできるだけ分かりやすくお伝えしています。 私たちが目指しているのは、専門用語をたくさん並べることではありません。 「自分の場合は、どれを選べばいいの?」 というお客様の疑問に、できるだけ分かりやすく答えることです。 そして、POPや商品説明だけでは分からないことがあれば、直接ご相談いただく。 その方の身体の状態。 普段の暮らし。 ご自身で着替えるのか、介助を受けるのか。 施設で使うのか、ご自宅で使うのか。 お話を伺いながら、一緒に考える。 それも、私たちの仕事だと思っています。 一人のお客様へのご案内を通じて気づいたことが、少しずつ現在の売場や接客につながっています。

お客様の声を、次のお客様へ

現在のせたがや介護では、店舗だけでなく、LINEでも介護の衣類についてのご相談をお受けしています。 そして私たちは、一つひとつのご相談を、その場だけで終わるものだとは考えていません。 「車いすに座ると、ズボンの裾が上がってしまう」 「自分でトイレに行くので、上げ下げしやすいズボンが欲しい」 「施設の乾燥機で洗える服がなかなか見つからない」 「腕が上がりにくくなって、着替えが大変になった」 一人のお客様が困っていることは、別の誰かも困っていることかもしれません。 そこで、ご相談から気づいたことを、衣類の開発や改良に役立てています。 また、同じことで困っている方のお役に立てるよう、介護の衣類選びについての記事として発信することもあります。 最近では、認知症についての学会に参加したり、介護に関する研修を受けたりするなど、衣類以外のことについても学ぶ機会を増やしています。 私たちは、介護のすべてを知っているわけではありません。 だからこそ、学び続けたいと思っています。 お客様から教えていただく。 専門職や介護の現場から教えてもらう。 自分たちでも学ぶ。 そして、そこで得た知識や経験を、次のお客様へのご相談や服づくりに返していく。 「相談する → 学ぶ → 改善する → 次のお客様へ」 その繰り返しを大切にしています。

私たちが提供したいのは、「安心」です

せたがや介護には、トップス、ズボン、肌着、パジャマ、靴下など、さまざまな介護の衣類があります。 でも、私たちが本当に提供したいものは、服だけではありません。 介護が始まったとき。 ご家族が施設へ入ることになったとき。 身体の状態が変わり、今まで着ていた服が着づらくなったとき。 初めてのことばかりで、 「何を買えばいいんだろう」 「このサイズで大丈夫かな」 「施設で使えるのかな」 と、一人で悩まれる方がいます。 そんなときに、 「せたがや介護に聞いてみよう」 と思っていただける存在でありたい。 分からないことを一緒に整理する。 その方の暮らしや身体の状態を伺う。 必要であれば、専門職の知識も借りる。 そして、その方に合いそうな服を一緒に考える。 そうすることで、 「せっかく買ったのに使えなかった」 そんな服を、私たちはゼロにしたい。 そして、何を選べばいいのか分からず、一人で悩む時間もできるだけ減らしたい。 その分の時間を、ご本人やご家族との楽しい時間、温かな時間に使っていただけたらと思います。 一人のお客様に、十分なお手伝いができなかった経験をきっかけに書き残した、 「商品ではなく、安心を売る」 という言葉。 あれから、私たちなりに少しずつ取り組みを重ねてきました。 もちろん、まだまだできることはあると思っています。 これからも、お客様の声を聞く。 専門職や介護の現場から学ぶ。 商品を改善する。 サービスを改善する。 そして、私たち自身も学び続ける。 1953年、三軒茶屋の肌着工場の直販店から始まった私たちの店は、お客様の声を聞きながら、少しずつ姿を変えてきました。 肌着を売る店から、お客様の声に応えてさまざまな衣類を揃える店へ。 介護の現場で学び、その経験を売場へ。 実店舗で培った考え方を、ECの「せたがや介護」へ。 そして今は、店舗でもECでも、 「介護の衣類について、安心して相談できる場所」 でありたいと思っています。 お客様の声を聞くことから始まった店だからこそ、その姿勢はこれからも変わりません。 介護の衣類について困ったとき、一人で悩まなくていい。 そう思っていただける店であること。 それが、私たちが「せたがや介護」を続けている理由です。

介護の衣類選びでお困りの方へ

「施設に何を持っていけばいい?」 「どんな服を選べばいい?」 「サイズが分からない」 そんなときは、お気軽にご相談ください。 お話を伺いながら、ご本人様に合う衣類を一緒に考えさせていただきます。
更新日09/22(09/15〜09/21集計)