【第4回】アトピー性皮膚炎について | 炎症を抑える外用薬
公開日:2025/11/27 更新日:2025/12/11アトピー性皮膚炎の治療というと、「保湿」と同じくらい話題に上がるのがステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの“炎症を抑えるお薬”です。
一方で、「ステロイドはこわい」「できれば使いたくない」という声がとても多いのも事実。
しかし、国内外のガイドラインでは、保湿だけで十分にコントロールできない場合は、外用薬で炎症をしっかり抑えることが推奨されています。
今回は、「こわい」から「正しく使えば心強い味方」に変えるために、ステロイド外用薬・タクロリムス等のカルシニューリン阻害薬の基本と、上手な付き合い方を整理していきます。
アトピー性皮膚炎では、
・かゆみ → かく
・かくことで角層バリアが壊れる
・さらに炎症が悪化して、またかゆくなる
という「かゆみ・掻破のループ」が起こりやすくなります。
炎症が続くと、
・皮膚が厚くゴワゴワしてくる
・色素沈着が残りやすくなる
・感染症(とびひなど)を起こしやすくなる
といったデメリットも。
「炎症を短時間でスッと鎮める」ことは、バリアを守り、悪化・再燃を防ぐための大切なポイントと考えられています。
ステロイド外用薬は、「強さ」と「部位」に応じて使い分けます。
・強さはおおまかに5段階(最強〜弱い)
・顔や首、陰部など皮膚の薄いところには“弱め”
・ひじ、ひざの裏、体幹などには“中等度〜やや強め”を使うことが多い
など、部位や症状に合わせて医師が選んで処方します。
「どのくらい塗ればいい?」の目安
よく使われるのが FTU(フィンガーチップユニット)という考え方です。
・大人の人差し指の先から第一関節まで出した量(約0.5g)で
・大人の手のひら2枚分の面積に塗れる量が目安
「なんとなくうっすら」では足りず、テカッと軽く光るくらいの量を、薄くムラなく伸ばすことが大切です。
タクロリムス軟膏(プロトピック®)や、類似の外用薬(カルシニューリン阻害薬)は「ステロイドではない抗炎症薬」として使われます。
・顔や首など、皮膚が薄いところの長期コントロール
・“赤みだけ残っている時期”の維持療法
・ステロイドを続けるのが心配な部位
などで使われることが多く、ステロイドと保湿の間を埋めてくれるような存在と言えます。
塗り始めに「ヒリヒリ・ほてり感」が出ることがありますが、多くは数日〜1週間ほどで落ち着くとされており、あまりにもつらい場合は主治医に相談しましょう。
Q. 皮膚がうすくなってボロボロになりませんか?
高いランクのステロイドを長期間・広範囲に、自己判断で使い続ければ、そういった副作用のリスクはゼロではありません。
一方で、ガイドラインに沿って、適切な強さ・量・期間で使う場合には、必要以上に恐れすぎる必要はないとされています。
むしろ、
怖くて少ししか塗らない → 炎症が長引く →結果として強い薬・長期間の治療が必要になる
というパターンのほうが、トータルのリスクは高くなりやすいと考えられます。
Q. やめるとリバウンドしませんか?
「やめたらぶり返す」の多くは、炎症がまだ残っているうちに、早くやめすぎているケースも。
・まずは炎症をしっかりおさえる(急性期)
・その後、塗る回数を減らしていく(漸減)
・落ち着いたら、週2回程度の「プロアクティブ療法」で再燃を防ぐ
というステップでコントロールする方法も、ガイドラインで紹介されています。
第3回まででお話ししてきたように、保湿剤は「毎日のお守り」のような存在です。
・日々のバリアケア → 保湿剤がメイン
・それでも出てきてしまう「炎症・かゆみの山」→ ステロイドやタクロリムスでしっかり鎮める
という役割分担を意識すると、治療全体のイメージがつきやすくなります。
・保湿+処方薬を2週間以上続けても改善が乏しい
・かゆみで眠れない日が続く
・生活の質が大きく落ちている
こういった場合は、我慢せず早めに主治医へ相談を。
近年は、生物学的製剤やJAK阻害薬など、新しい選択肢も増えています。
「ステロイドはこわいから最低限に」ではなく、「炎症の山は薬で手早く鎮めて、ふだんは保湿と生活ケアで守る」
そんなチーム戦でアトピーと付き合っていけると良いなと思います。
監修者:島村久美子(薬剤師)
株式会社フロックス代表。敏感肌スキンケア、インナーケア成分設計、漢方薬やハーブ活用にも精通。LINOの製品開発・監修を担当し、角層バリアと低刺激設計に基づく情報監修の他、薬局実務も行っています。
資格:薬剤師/漢方薬生薬認定薬剤師
実績:敏感肌向けスキンケアの処方設計/OEM事業多数/スチーム事業監修/教育コンテンツ連載 ほか
開示:本記事のテーマと関連する自社製品の開発・監修に関与しています。