【第3回】アトピー性皮膚炎について | 保湿剤の選び方 公開日:2025/11/17 更新日:2025/12/11
アトピー性皮膚炎の“毎日の保湿”を最短ルートで整える。
A)白色ワセリン
・役割:強力な“フタ(封鎖)”で水分蒸散(TEWL)を抑える定番。仕上げや“こすれる部位”に薄膜が有効。
・使い方:米粒大を薄く。ベタつきが気になる人は部分使いに。
・根拠メモ:バリア回復・TEWL低下など分子レベルの改善が報告されている。
B)ヘパリン類似物質
・役割:水分保持(抱水)+なじみの良さ。日本ではADの皮膚乾燥ケアで広く使用。
・エビデンス:放射線皮膚炎など乾燥皮膚で角質水分量↑
・乾燥/落屑の改善を示すRCT(ランダム化比較試験)が複数有(保湿薬としての有効性の裏づけ)。
・注意:しみる日は量や頻度を調整。テクスチャーが軽く回数を増やしやすいのが長所。
C)尿素製剤(10%など)
・役割:抱水+角層やわらげ(濃度で“やわらげ”が強まる)。ひび割れ、ごわつきには有用。
・注意:病変部や小児ではしみやすいため、低濃度から。顔は慎重に。
1)成分で見る“仕事の分担”
・抱水:グリセリン/ヒアルロン酸/ベタイン/アミノ酸(NMF)
・土台づくり:セラミド(NG/NP/AP/EOPなど)—角層ラメラを整えて“うるおいを維持”。
・封鎖:油性のワセリン/スクワラン/シア脂等で水分の逃げ道にフタ。
2)ラベルの目印
・無香料/低刺激/弱酸性
・セラミドやNMF配合のクリームを“主役”に、こすれる部位はワセリン薄膜を重ねると安定。
・コスト面は続けられることが大切(保湿は“量×継続”が効き目を左右するため)。
1)乾燥が軽い、日常の保湿(顔/体)
・ローション(市販品)
・セラミド入りクリーム(市販品)
・こすれ部位だけワセリン(医薬品)
2)乾燥が強い、こすれが気になる日(主に医薬品使用)
・ヘパリン類似物質の塗布回数を増やし、仕上げにワセリン薄膜。
・角層が硬い部位は尿素を短期間・部分使い→落ち着いたらしみない処方へ戻す。
3)手荒れ・家事前後
・作業前後にクリーム→ワセリン。就寝時は綿手袋で密着度UP(しみる日はシンプルに)。
1)ぬるめ(38–40℃)で5–10分 → 押し拭き(完全に乾かさない)
2)薬を使う日はここで患部に(医師の指示どおり)
3)3分以内に保湿:
ローション → クリーム(抱水) → こすれ部位だけワセリン(封鎖)
Q. 医薬品と化粧品、どちらが“強い”?
A. 役割が違います。医薬品(ワセリン/HLM/尿素)は設計がシンプルで「効かせやすい」。化粧品は使い心地や設計の自由度があり、回数と量の増減がしやすい。併用が現実的。
Q. 尿素は子どももOK?
A. しみやすいため低濃度・部分使いから。顔や急性期の病変部は避けるのが無難。ガイドライン・欧州資料でも刺激に注意喚起があります。
Q. 結局、何を使えば?
A. まずは無香料・低刺激・セラミド入りクリーム+白色ワセリン。乾燥が強くしみる日はヘパリン類似物質を使用。続けられる価格かも大切。
・日本皮膚科学会ガイドライン 2021:AD管理の柱として保湿・スキンケアを推奨。
・AAD 2023–25:入浴+保湿を推奨
・Cochraneレビュー:保湿の使用で重症度↓、フレア↓
監修者:島村久美子(薬剤師)
株式会社フロックス代表。敏感肌スキンケア、インナーケア成分設計、漢方薬やハーブ活用にも精通。LINOの製品開発・監修を担当し、角層バリアと低刺激設計に基づく情報監修の他、薬局実務も行っています。
資格:薬剤師/漢方薬生薬認定薬剤師
実績:敏感肌向けスキンケアの処方設計/OEM事業多数/スチーム事業監修/教育コンテンツ連載 ほか
開示:本記事のテーマと関連する自社製品の開発・監修に関与しています。