この歴史を裏付ける貴重な記録が、今もウエストポイントに残っています。全卒業生の名簿を編纂したジョージ・カラム氏は、1835年7月1日という日付を、歴史の幕開けとして記しました。
この日は、過酷な4年間の教育を終えた若者が、軍のリーダーとしての身分を授かる任官の日であり卒業式の日と記録されています。それが、全米最古、そして世界初の卒業記念カレッジリングの誕生です。
当社では、この日を記念して、7月1日を「カレッジリングの日」として登録申請を行い、日本記念日協会によって正式に認められました。
出典:George W. Cullum's
Biographical Register of the Officers and Graduatesof of the United States Military Academy
【候補生がデザインを行う】
ウエストポイントのカレッジリングが、他とは一線を画す最大の理由は、そのデザインの決定プロセスにあります。
<リング・クレスト委員会の発足>
1869年頃までに、士官候補生自らがデザインを行う「リング・クレスト委員会(Ring and Crest Committee)」が発足。約半年をかけて検討し、共通の経験や、士官学校の伝統を取り入れたデザインを起こします。クレストには国鳥である白頭鷲やサーベル、星条旗の他、各年代を象徴するデザインが取り込まれており、各期ごとのモットーも決定され、デザインに組み込まれているのです。
【1984年卒モデル】
今回復刻した1984年モデルの右サイドには、当時の委員会が選び抜いた意匠とともに、彼らの誇りである「Best of the Corps(歴代最高)」の文字が刻まれています。
このリングをはめることは、単なる卒業や商品を意味するだけではなく、歴代の卒業生が織りなす「ロング・グレー・ライン(ウエストポイント卒業生の愛称)」に加わることです。
出典:USMA Library Digital Collection
ウエストポイントのカレッジリングが、190年以上にわたり世界で最も価値あるリングの一つとして君臨し続けている背景には、その伝統を支え、守り続ける「第三者組織」の存在があります。
【伝統を管理する巨大な組織】
1869年に設立された「West Point Association of Graduates(WPAOG)」は、歴代の卒業生たちの歴史をアーカイブし、現役候補生と「ロング・グレー・ライン(ウエストポイント卒業生の愛称)」を繋ぐ役割を担う独立組織です。
<文化の継承>
「リング・メルト」などの儀式を運営・支援し、卒業生から寄贈されたリングの履歴を記録するなど、カレッジリングにまつわる崇高な文化が守られています。
<リングへの敬意>
万が一、卒業生が事故や災害でリングを紛失した際、それを捜索し返還を試みる特別なプログラムが存在するほど、この組織はリングを一人の人間、そして歴史の一部として尊重しています。
WPAOGの活動を通して、毎年の候補生が手にするリングが育まれているのです。
Source: WPAOG (West Point Association of Graduates)