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虫に負けずに自分を守る。最適な撮影装備=アウトドアウェアを探す。
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虫に負けずに自分を守る。最適な撮影装備=アウトドアウェアを探す。
虫に負けずに自分を守る。最適な撮影装備=アウトドアウェアを探す。
公開日:2025/05/12 更新日:2026/02/04
立春、雨水、啓蟄、春分と二十四節気の暦も進み、日ごとに春らしさが増してくるこの季節。 とくに寒さがきびしかった今冬は、野外に出そびれていた人も多いはず。ならば、カメラ片手に野外に出るには、これからがチャンスなり。ベランダの植木にも、庭の木立にも、街の公園にも、そして野外のアウトドアのフィールドでも、どこにも春はやって来る。新芽の緑が、色とりどりの花々が、春薫るあたたかな風が、心身ともに楽しませてくれるでしょう。カメラ好きならその一瞬を切り撮りたい思いに駆られてしまうのも道理なことで、その準備に取り掛かるのは、春の夜の楽しみのひとつなのでは?
やわらかい緑に葉に揺れるダケカンバの巨木。 標高の高い山上の木だけに春が訪れるのはまだ先なれど。 カメラ機材のもろもろはともかく、プラスして考えておきたいのが身に着けるウェアのこと。寒さ対策はもちろん、だんだんと気になってくるのが虫たちの動き。冒頭の「啓蟄」とは、冬籠りの土中の虫たちが蠢き、這い出てくる季節のこと。それ以降は、もう虫たちの活動がどんどん活発化していくことになる。3月、4月、5月とカメラ好きの活動開始に合わせたように、虫たちもフィールドを飛び回るようになる。もちろん、その虫が撮影の対象になることだってあるでしょう。チョウ、ハチ、テントウムシ、クワガタと虫にもいろいろと種類はあるけれど、カメラで撮りたいと思う虫といえば、その代表格は「ホタル」ではないでしょうか。薄闇に明滅するホタルの光。やはり、撮影欲をくすぐってくれる生き物である。では、ホタルの撮影時に注意しなければならないのは、どんなことだろう? ホタルとはどんな生き物なのかを考えながら、撮影に必要な装備のことなども考えてみたい。
ホタル舞う夜の撮影に最適な装備とは?
薄闇の森に明滅するやわらかな灯り。薄緑色の光源はゆるい軌跡を描きつつ、幾重にも飛び交い、ひと筋ふた筋と塗り重ねられていく。森をキャンバスに乱舞するホタル。その光跡からは聞こえるはずもない、やさしい音が奏でられているかのようにも思えてくる。光源は数秒に一度の間隔で、灯り休む。
夕闇の竹林に舞うホタルの光。 光の明滅はオスとメスの生命のやり取りでもあり、成虫となったホタルたちの大切な一 夜となる。 源氏か平家か。栄枯盛衰の物語に虫たちの名前を当て嵌めるのも、なんともこの国の奥深さである。ゲンジは大きく、ヘイケは小型。その数も多くはゲンジが占めているという。 イモムシ似のホタルの幼虫は、種類にもよるが、ふだんは水の流れの中で生活している。彼らが好むのはカワニナ。夏に生を得て卵から孵化をする。秋冬はイモムシのまま、体を大きくするためにいっしょけんめいに食べて過ごす。春になって成長した幼虫は、陸に上がってやわらかい土の中に潜り込み、そこでマユをつくり、やがてサナギになる。 羽化を経て成虫になったホタルは、あたたかな初夏の夜に活動を開始する。川辺の草原や森、田んぼへ飛び立つのである。われわれが目にするホタルの乱舞は、この季節のみの風物詩。でも、ホタルの寿命は2週間ほどで終わってしまう。武士たちの、なんとも儚い夢のように。 ホタルの光は飾り物ではない。じつは自分の体の一部を明滅させることで、仲間たちとの交流を図っているというから興味深い。ゲンジボタルはオスもメスも発光する。お互いの灯りに惹かれ合うのか、そこでカップルの誕生となる。その後、メスは流れに近い枝葉や苔などに産卵。その後、寿命をまっとうする。 ホタルの乱舞は、5月、6月ころの彼らの生命の循環のワンシーンである。ただ、近年はホタルの棲む環境の変化、悪化に伴ってホタルが舞うような場所も期間もかなり狭められているようだ。この儚さもあいまって、ホタルの乱舞する夜に出会えることは、とても大切な時間となる。
知っておくべき、野外撮影での心得
そんな貴重なシーンを写真に切り撮ってみたいと思うのは、カメラ好きならば当たり前。でも、そこには思わぬ“落とし穴”もある。 ホタルに限らずではあるが、カメラで空間の一瞬を切り撮るには、絶対的な条件がひとつある。それは、その瞬間その場に自分が居なければ、けっして撮ることができないという一点だ。さらに付け加えるなら、被写体の動き(生態や現象)もある程度は事前に調べておかねばなるまい。たとえば、山で朝日のワンシーンを収めたいならば、日の昇る時間を調べておかねばならないし、どの方向が東の空なのかも知らねばなるまい。 ホタルも同じ。ホタルの成虫が飛び交うタイミングは? どんな環境でどんな天候条件なら観察できる? そこには、どんな装備を持っていくべき? と、この知識のあるなしは写真のでき映えにも大きく影響することだろう。
新緑眩い昼間の沢筋か、夕霧に沈む森のトレイルか。はたしてホタルにとっては、どちらの場所がいいのだろう。場所、時間、季節、 天候などさまざまな要素を考え、情報を手繰りつつ、カメラを構える場所を決める。これも、野外撮影での楽しみのひとつ。 さて、先ほどの“落とし穴”とは、じつは虫のこと。もちろん、ホタルも昆虫だ。でも、ホタルが乱舞するのはしっとりとした宵闇の川辺や森の中。そこに暮らしているのは、ホタルだけではないのはあきらかで、さまざまな虫たちの世界でもある。モスキートたちがぶんぶんと飛び回っている。モスキート、つまり蚊である。ご存知のように、蚊は人間の血を吸う。これは、メスの産卵のための栄養源として必要だから。オスは吸わないようで、ふだんは花の蜜などを吸って糖分からエネルギーをもらっている。でも、メスは吸う。 蚊といえば、アカイエカやヒトスジシマカが思い浮かぶが、通常、ヤブ蚊と言われているのは黒と白の斑模様が印象的なヒトスジシマ蚊のこと。このヤブ蚊の生息域はホタルの生息域に近いところにあり、そこに人が近づいていけば、まったく逆の意味で「飛んで火に入る夏の虫」となってしまう。蚊は、人間の呼吸で生じる炭酸ガス(二酸化炭素)や体温などを感知できるというから、その場に居ればひとたまりもない。メスの蚊にとっても、生命をつなぐ意味では命懸けの行為なので、致し方はないのだけれど。 つまり、ホタルの撮影には、彼らが乱舞するタイミングを待つ長い時間と合わせて、蚊からの攻撃に対する相応の覚悟が必要となるということ。ならば、虫除けをすればいい、とは、ならない。この場合は。ホタルも昆虫なだけに、蚊取り線香を焚いて煙を出すわけにもいかず、虫除けスプレーを撒くわけにもいかないでしょう。いつもとはちがう状況に、ホタルも逃げ出してしまう可能性もある。
自分で自分の身を守る。そのための装備選び
やはり大切なのは、自分を守る術である。肌を露出を極力控えること。それに尽きる。5月、6月の夜だからと言って、短パンTシャツ姿では蚊の餌食になってしまう。ただ痒いだけならまだしも、最近は温暖化の影響もあり、蚊が媒介する感染症にも注意が必要だ。なおさら、刺されない対策が必要となっている。肌の露出をしないということは、足元はサンダルよりもシューズ、理想は長靴。長袖長ズボンはもちろん、手首や首筋なども何かしらの衣料を使って覆ってしまうのがベスト。あまりにも蚊の発生が多く予想されるようなら、頭全体を覆うモスキートネットをかぶってみたり、長時間の撮影になるようなら蚊帳代わりのテントを張ってしまうのもありでしょう。テントが張れる場所があるかどうかは、撮影地の状況にもよるけれど。
大切に一瞬に出会い、 貴重な一枚を撮るため には、相応の準備と心 構えが必要となる。夜 空も野鳥も高山植物も キャンプの一夜でも、 その日そのとき、その 場に居なければめぐり あえない風景である。 ここに至るまでのその 過程も考えながら、自 分を守るための装備を 準備したい。 野鳥や高山植物、星空、夜のシーンでの撮影でも同じだが、いい写真を撮るには、その一瞬を迎えるための待ち時間が必要だ。その待ち時間をどう工夫して快適に過ごすのか、この点こそが野外で撮影をするための大事なポイントとなる。夏の暑さにも耐え、冬の寒さにも耐える。雨風の対策はもちろん、虫の対策も怠るべからず。もう少し付け加えるなら、自然を相手にした撮影とは野外生活の延長にあるということを意識する。山を歩く、大地に眠るなど、その場所にたどり着くための知識や経験、体力も欠かせない。アウトドアでの写真撮影とは意外とタフな行為なのである。
防虫衣料という選択肢
虫除けに関しての耳寄りの情報をひとつ紹介したい。アウトドアの衣料には、さまざまな機能を持ったアイテムが数多くある。防水や透湿はベースとなる機能であるが、それに付加してストレッチ性を重視したり、UVカット機能を持たせたりと各社とも開発にいとまがない。その一端には、防虫素材を使った製品も多く発表されている。 そんなに新しいものでもないが、たとえば、帝人フロンティアとアース製薬が共同で開発したスコーロンという繊維素材がある。業界では「テイジンの防虫素材」として知られており、アウトドアメーカーのティムコが自社ブランド、フォックスファイヤーのアイテムとして商品化している。どんな構造なのかといえば、アース製薬が開発した特殊な防虫剤を、テイジンのナノレベルの接着技術によって生地に固着。その素材を使って、フォックスファイヤーがアウトドアウェアとして製品化しているというかたちになる。 このスコーロンを使ったウェアは虫を寄せ付けないのではなく、寄ってきた虫がウェアに止まったとしても、その不快さを感知してすぐに逃げてしまうという機能を持っている。このほかにも、蚊取り線香の原料としても知られている除虫菊の成分に似た分子構造を持つ「ペルメトリン」という物質を使った繊維もある。こちらも接触忌避剤であり、この素材をもとにしてつくられたウェアをフランス生まれのアウトドアメーカーであるミレーが「インセクトバリヤー」として発表している。 殺虫剤のように虫を積極的に追いやるのではなく、寄ってきた虫を寄せ付けないという消極的ではあるけれど、より自然に寄り添った防虫のかたちとでもいうべきか。つまり、このウェアで身を固めていれば、虫に刺されることも極力避けられることになる。ホタル乱舞のように自然を相手にした撮影には、ピタリと嵌るウェアではないだろうか。
ホタル撮影に最適なアウトドアウェア
Foxfire:「着る防虫」スコーロン