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世界地図の図法とは|メルカトル図法・イコールアース図法・ミラー図法の違いを解説

公開日:2026/09/05 更新日:2026/09/06

世界地図、変わるかも

2026年9月4日、国連総会で164カ国の賛成により、ある決議が採択されました。世界地図の標準として長年使われてきた「メルカトル図法」ではなく、大陸の面積をより正確に表す「イコールアース図法」を採用するよう、加盟国や国際機関に促す内容です(法的な拘束力はありません)。主導したのは西アフリカのトーゴで、アフリカ諸国が強く支持しました。理由は、メルカトル図法だとアフリカ大陸など赤道に近い地域が、実際より小さく表示されてしまうためです。日本も賛成に回った一方、アメリカは反対、ウクライナなど6カ国は棄権しています。 ーーーーーーー 実はミニマルマップの世界地図ポスターも、 メルカトル図法は採用していません。 ーーーーーーー 使っているのは「ミラー図法」という、また別の図法です。今回のニュースをきっかけに、メルカトル・イコールアース・ミラー、3つの図法の違いを整理してみようと思います。 (出典: 2026年9月5日付 朝日新聞・日本経済新聞の報道より)

図法によって見え方が違う

そもそも、地球という球体を1枚の平らな地図に描き写す時点で、どうしても何かしらの"歪み"が生まれます。角度を正しくすれば面積が崩れ、面積を正しくすれば形が崩れる。すべてを同時に正しくできる図法は存在しません。 どの歪みを、どのくらい許容するか。その選び方の違いが、メルカトル図法・イコールアース図法・ミラー図法という3つの図法の個性になっています。

①メルカトル図法とは

航海図として発展してきた図法で、角度を正しく保てることが最大の特徴です。羅針盤の直進コースを直線で描けるため、長く航海の実用地図として使われてきました。 一方で、面積は高緯度になるほど大きく誇張されます。有名な例がグリーンランドで、実際の面積はアフリカ大陸の1/14程度しかないのに、メルカトル図法の地図ではほぼ同じ大きさに見えてしまいます。長年、世界標準の地図として広く使われてきた図法です。

②イコールアース図法とは

2018年に考案された、比較的新しい図法です。名前の通り、面積比を正確に表すことに特化しており、今回の国連決議が採用を促しているのもこの図法です。 ただし、面積を正確にする代わりに、赤道から離れた高緯度の地域や、地図の端に近い地域ほど、形が引き伸ばされたり歪んだりしやすくなります。日本のような高緯度の国は、まさにその"地図の端"に位置しています。

③ミラー図法とは(ミニマルマップ採用中)

メルカトル図法を改良する形で、1942年にオズボーン・メイナード・ミラーが考案した図法です。メルカトルほど極地を誇張せず、面積の誇張を穏やかに抑えながら、見慣れた長方形のグリッドで見やすい、という"実用的なバランス型"の図法です。 ミニマルマップの世界地図ポスターは、このミラー図法を採用しています。

「端っこの国」問題

ここからは、ミニマルマップとしての意見です。 イコールアース図法は、面積を正確に表せる分、日本のような高緯度・地図の端に位置する国は、形が歪んで表示されがちだと感じています。地図を見慣れていない子供ほど、「日本は地図の端っこにポツンとある国」という視覚的な印象を、そのまま受け取ってしまうのではないかと心配しています。 メルカトル図法は長年、無意識のうちに「日本は小さい国だ」という思い込みを人々に植え付けてきた側面があると思います。(少なくとも、私は「日本は小さい」と思っていました) イコールアース図法が主流になっていったら、今度は「日本は端っこの国だ」という、また新しい思い込みが生まれてしまうかもしれません。 日本を中心にしたイコールアース図法の世界地図も存在しますが、その場合はヨーロッパがかなり歪んだ地図になるため、正しい地形を認識できなくなります。結果として、グローバルとはかけ離れた地図になるのでは、と危惧しています。 こうした地図の図法による無意識の思い込みは、大人よりも、地図を学び始めたばかりの子供に与える影響の方が大きいのではないかと感じています。

スペインの教育現場では

私・MINIMAL MAPデザイナーが現在暮らしているスペインでは、イコールアース図法が主流です。特に教育現場では、メルカトル図法はまず使われません。そして、イコールアース図法の次によく見かけるのが、ミラー図法です。 実際に子供たちが学校で使う地図を見ていても、面積のバランスの取れたイコールアースやミラーの方が、世界の大きさの感覚をつかみやすいのだろうな、と感じます。 日本は、小さい国じゃない。実際に海外に暮らしていて感じていることです。

完璧な地図は存在しない

完璧な地図は存在しない ― だからこそ、ミニマルマップはこれからも「ミラー図法」を推していきたいと思っています。メルカトルほど極地を誇張せず、かといってイコールアースほど日本の形が歪むこともない、そのバランスの良さが理由です。 世界は、もっと広い。日本は、もっと大きい。毎日目にする地図だからこそ、そのことを実感できるものを選びたいと思っています。 近々、イコールアース図法を採用したラインナップも準備しています。図法によって世界の見え方がどう変わるのか、ぜひ見比べてみてください。お楽しみに。

実は50年前にも

ちなみに、、「メルカトル図法は不公平だ」という指摘は、今回が初めてではありません。1970〜80年代、ドイツの歴史学者アルノ・ピーターズが提唱した「ゴール・ピーターズ図法」が、国連やUNESCOなどの場で同様の問題提起として話題になりました。 ゴール・ピーターズ図法は、イコールアース図法と同じく「面積を正確に表す」ことを重視した図法です。今回の国連決議をめぐる議論は、実は50年近く前から続いてきたものでもあるのです。 地図を通して世界の見え方が変わる。 おもしろいですね!