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あくまきに込められた家族の物語 ―15年ぶりの帰省編

公開日:2025/04/17 更新日:2025/04/18

故郷を忘れたわけじゃないただ遠かっただけ

15年。 数字にすればあっという間なのに、心の距離はずっと、遠く感じていた。 就職、結婚、転勤、離婚…。 なんとなく言い訳を並べているうちに、実家にはもう15年も帰っていなかった。 母からの年賀状や、たまに届く地元の新聞だけが、細くつながる故郷との糸。 でもある日、不意に届いた手紙が、その糸をグッと手繰り寄せた。 「今年もあくまきを作る予定です。もし時間が合えば、久しぶりにどう?」 短い文章だったけれど、母の文字は以前と変わらず、まっすぐで、あたたかかった。

鹿児島の空気が変わっていなくて安心した。

新幹線を降りた瞬間、胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じた。 駅前の風景は少し変わっていたけれど、空の色、風の匂い、土の感触…全部が懐かしい。 「…ただいま。」 誰に言うでもなく、心の中でそうつぶやいた。 実家の玄関を開けると、台所からあの香りが漂ってきた。 竹の皮、もち米、木灰の香ばしい匂い――あくまきの季節の匂い。

言葉より先に、味が迎えてくれた

「ごはん食べた?あくまきできてるよ。」 母はまるで昨日ぶりのような顔で、台所から声をかけてきた。 私はただ、「うん」とだけ答えて、黙って食卓についた。 皿の上には、あの茶色くてモチモチのあくまき。 きな粉がふわっとかけられて、角のひとつが少し崩れていた。 一口食べた瞬間、思い出が一気に押し寄せてきた。 運動会の朝、祖母と一緒に竹の皮を拭いた日、きな粉をこぼして叱られたこと―― 15年分の「ただいま」が、全部そのひとくちに込められていた。

不器用な母が作り続けてくれた理由

「味、変わってないね」と言うと、母は照れたように笑って言った。 「去年から、ちょっと失敗しがちなのよ。手が前より思うように動かなくて…」 「でもね、あなたがいつか帰ってくるかもって思って、やっぱり作ってた。」 胸が詰まった。 言葉にできない想いを、母は毎年、あの手で包んで、灰汁で煮て、あくまきにして送り続けてくれていたんだ。

あくまきは、母の手紙だった

昔はわからなかった。 どうして母が、毎年あくまきを作ることにこだわっていたのか。 でも今ならわかる。 あれは「元気にしてる?」という母からの手紙だった。 「あなたを待ってるよ」という、何よりやさしいサインだった。

最後に。

その夜、母と一緒にもう一本あくまきを包んだ。 母の手元を見ながら、昔のように竹の皮を折る。 不器用な私の手を、母がそっと支えてくれる。 15年。 遠回りだったけど、やっとたどり着けた。 ミート21のあくまきには、そんな**「離れてもつながれる味」**が詰まっています。 いつかまた誰かが戻ってくる日のために、今日も台所で、誰かがそっと手を動かしているのかもしれません。

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