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みんなで食べる楽しさを叶える『tonton』のアレルギー対応パン

公開日:2025/10/22 更新日:2025/10/22

人と出会い、耳を傾けて、試行錯誤して…。

諦めず、人に寄り添って作り続けたパンは、

みんなが笑顔にしてくれるおいしさに。

「卵、乳を使っていないのに、すごくおいしいパンのお店が小松にあるの」と、 ママ友から聞いて以来、ずっと気になっていた『卵・乳アレルギー対応パンのtonton』。 ママ友の子どもは卵アレルギーなので、食べられるパンを探すのに苦労しているのは知っていました。それだけに「すごくおいしいパン」にであえるのは稀ということも。 店頭にはコッペパンやメロンパン、クロワッサンなどシンプルながらもバリエーション豊かなパンが並び、そのどれもがやや小ぶり。 「子どもも食べきれるようにと、あえて小さめにしているんですよ」 と話してくれたのは、店長でありパン職人の井藤さん。
意外なことに、前職は建築設計だった井藤さん。 だけど、黙々と図面を書き続けるデスクワークは性に合わなかったそう。 その時、井藤さんの奥様の「焼きたてパンを毎日食べたい」という〈声〉を聞き、思い切ってパン屋の道へ転身! 横浜の有名パン屋や富山県のインストアベーカリーで修業し、石川県で独立するも、パンが全く売れない日々。毎日廃棄されるパンに、何を作ったらいいのかわからなくなったことも。 その中で聞いたのが、 「このコッペパン、子どもが食べるにはちょっと大きいなあ。半分の大きさにならん?」 という常連さんの〈声〉。 「正直、戸惑いました。おしゃれなパンがお客様に喜ばれると考えていただけに、半分にしただけの簡単なパンでいいのだろうか……と不安で。 だけど、『私のために作ってくれた!』と大喜びで食べてくれたんです。 それが、考えるきっかけになりました。 自分が食べてほしいパンではなく、お客様が食べたい、食べられるパンは何だろうと」
「実力不足だったんです。でも、それが逆に良かった。もし、自分に実力があったら、妻やお客様の〈声〉を聞かずに我が道を行っていた。 売れないことを『パン文化をわかってない』と、ぼやいていたでしょう」 素直な姿勢で、食べる人を想って〈声〉に耳を傾け、試行錯誤して。 卵、乳不使用のアレルギー対応パンを手がけることになったのも、お客の〈声〉から。
井藤さんが習得したおしゃれパンは姿を消し、現在、お店に並んでいるパンのほとんどは、お客やスタッフが食べたいシンプルなパン。 でも、それでいいんだと井藤さんは楽しそうにパンを作ります。 卵・乳アレルギー対応のパンというものの、井藤さんが納得できるほどおいしいパンの味に仕上げるには、気が遠くなるほど果てしない試行錯誤の繰り返し。 コッペパンができたなら、次はクロワッサン、それからメロンパン…… 「アレルギーを持つため、今までパン屋に入れなかった人も『どのパンにしようかな』と笑顔で選んでいる。 その姿を見るたびに、アレルギーを持つ人は、実は自分たちが思っているよりも多いのだと気づかされます」
選べる喜び、みんなで同じパンを食べる楽しさ。 食べることを怖がらなくていい安心感。 ふんわり、なめらかな食感の小ぶりなパンから、このパンの味が家族みんなの思い出の味になっていくのだろうな……と感慨深く味わいました。

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