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猫を背負った便利屋さん(八)

公開日:2025/10/16

第八章:裏切りの代償

白石から得た情報をもとに、浩介は行動を開始した。シンギュラリティの前端企業と疑われる「バイオケア研究所」の清掃員として、潜入調査を受諾したのだ。 夜間の清掃作業。浩介はオレンジ色が目立ちすぎるため、業務用の黒いナイロンバッグにクロを入れざるを得なかった。クロは明らかに不機嫌だった。 「我慢してくれ、クロ」 作業中、浩介はある書庫で、廃棄処分と印が押された古い実験記録の山を発見した。その中に、クロの個体識別コードらしきものを見つけた。そして、それよりも新しい日付の文書に、「対象個体M-09(クロ)・回収任務・失敗」とあるのを目にした。 まさにその時、背後から声がかかった。 「君、何をしているんだ?」 警備員だ。浩介は咄嗟にスマホでそのページを撮影し、書類を元の場所に戻した。 「すみません、ゴミと書類の区別がつかなくて」 警備員は疑わしそうな目をしたが、それ以上は追求してこなかった。 翌日、浩介が便利屋の仕事をしていると、自宅アパートの郵便受けが荒らされていることに気づいた。何も盗まれてはいないが、明らかに警告だった。 浩介はオレンジのリュックをしっかりと背負い直した。この色が、今や挑戦状のように感じられた。 彼は白石に連絡した。 「バレています」 「…想定内です。こちらの準備も整えましょう」 戦いの火蓋が切って落とされた。

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