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猫を背負った便利屋さん(七)

公開日:2025/10/16

第七章:猫の目に映る真実

白石との待ち合わせは、下町の小さな喫茶店だった。彼女は私服姿で、以前よりくつろいだ様子だが、眼差しは鋭いままだ。 「“彼ら”は、“シンギュラリティ”と名乗っています」 白石はコーヒーを一口含み、静かに話し始めた。 「人類の次なる進化には、動物の持つ優れた感覚や本能の理解が不可欠だ、と。ですが、その方法が…」 彼女はタブレットを操作し、いくつかの資料を見せた。檻の中の憔悴した動物たち。複雑な計測機器。 「クロさんは、ごく初期の“成功例”の一匹です。高い共感能力を持ち、飼い主の感情や意志を驚異的な精度で理解し、時には先回りして行動さえします。でしょう?」 浩介はうなずいた。確かにクロは、浩介が落ち込んでいるときにはそっと寄り添い、危険を感じると警告のように鳴くことがあった。 「シンギュラリティは、クロさんのような“資産”を回収しようと動いています。そして、より“完成度”の高い個体を求め、新たな実験を続けている」 その時、浩介の足元に置いたオレンジのリュックの中のクロが、低くうなるような声をあげた。メッシュの窓を通して、クロの瞳が強く輝いている。 浩介はリュックを前抱きモードに組み替え、クロを抱きしめた。 「次は、どうすれば?」 「まずは、彼らの活動拠点の一つを特定する必要があります。そのために、あなたの便利屋のスキルが必要です」 浩介は、胸元で温もるクロの重みと、それを包むオレンジの布地を見つめた。 「わかりました。手伝いましょう」

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