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猫を背負った便利屋さん(六)

公開日:2025/10/16 更新日:2025/10/16

第六章:再会の条件

公園でのインコ探しから数日後、浩介のスマホにまたもや未知番号からの着信があった。覚悟を決めて出ると、聞き覚えのある、クールな女性の声だった。 「佐藤さん。前回の件、ご検討いただけましたか?」 白石恵だった。 「…“話す猫”について、もう少し具体的な情報をいただけないと」 「おっしゃる通りです」白石の声には少し疲れがにじんでいた。「では、条件を変えましょう。まずは、私を信じてもらうことから。今、あなたは“クロ”という黒猫を飼っていますね」 浩介の背筋が寒くなった。彼女は調べている。 「…そうです」 「そのクロさんは、おそらく…“彼ら”の実験体の一つです。“話す”わけではありませんが、並外れた知性と、ある種の“共感能力”を持っているはずです」 「…!」 「“彼ら”とは、とある組織です。動物の潜在能力を…時に非道な方法で引き出そうとしている」白石の声が強くなる。「私はそこから脱退しました。今は、彼らに囚われた他の動物たちを救いたい。あなたとクロさんの力が必要です」 浩介は默り込んだ。全てが突飛すぎた。しかし、クロの利口さは確かに普通の猫離れしていた。柴田老刑事の警告も思い出される。 「…なぜ私を?」 「あなたの便利屋としての能力と、何より——」白石は一息ついた。「そのオレンジのリュックを見たからです。目立ちます。追跡する側にとっては悩みの種ですが、“証拠”を隠すには不向きです。つまり、あなたに悪意はない、と判断しました」 浩介は、隣で拡張テントの中でくつろぐクロを見た。 「…会いましょう。話を聞くだけ聞きます」

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